第5話 大仏失踪終了のこと


神社に戻ると、そこには梅さんが倒れており、見事に一発殴られた。

何でもギックリ腰だったらしい。良かった、良かった。無事、これですべてが解決かと思いきや、その晩、また不思議な夢を見た。

内の神社の神様、メス狸のタヌタンが、あんまり僕が仏様と仲良くするものだから、泣きながら家出してしまう夢である。

ちなみにその仲良しとされた仏は、僕の背中に乗っかり、散々僕を苦しめた。

『この不届き者ぉー、我を何だと思っておる!!』

仏像の顔に落書きされたことをよほど腹をたてているらしい。一晩中苦情を、仏が言った。

いったいどうやったら、この仏様と仲良しなのか、タヌタンに問いただしたい。

ようやく、悪夢から覚めると、深いため息を吐いた。寝ているときのお方が断然疲れているような気がする。

「....ふぅ」草太郎が朝起き上がると、何故か胸に仏像がおちていた。

「............................................」

途方もない疲労感に、何か言うのを止めた。

「草太!あんたに手紙着ているよ!」そう梅さんは言って、手紙を僕のほうに放り投げた。足を強く踏み鳴らしながら去っていく。あまりの強い足踏みに、床が揺れている。よほど腹をたてた事があるらしい。

手紙にはこう書かれていた。

『神土草太郎殿へー

昨日は内の者がご迷惑をかけた様子で、本当に申し訳がない。かくなるうえは、腹を切る所存。なにとぞ許していただきたい。私が腹を切った後、五貴のことを頼む。かしこ。美名月遠野より』

腹を切ってて、何時代の人間だよ。ホモサピエンスか?

ため息をつきながら、傍らにある仏像に眼を向けた。仕方がないので今度、蒼月寺に仏像を届に行こうと思う。

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