第10話

「さて何に乗る?」

カノンが聞くとえ?と戸惑いを浮かべた目を向けたビッチ

「ここバイトで入ってもアトラクションには乗れるんだよ」ニコニコしているカノンにビッチは小さく口を開きかけ、口元に軽く握る手を当て悩んだ

「ねぇ、カノンこのランドにはAIがいるでしょう?」

「あーなんかそうらしいね。けど別に常に監視してる訳でもないし入る時だけ居るんじゃない?」

「なるほど…じゃあ本体が何処かとか分からないのよね」

「?わかんないかな。どうして知りたいの」

首を傾げるカノンにオホンと咳をしたビッチ

「何でもないの、そうねアトラクションといえばジェットコースターかしら」

「OK、行こ」


後ろを向きどんどん先を行くカノンにビッチがついて行く


するとまた行列に到着し、大勢の声が雑多な騒音を産む


「ここがジェットコースター?」

「そうだよー、あのね、アンナ。電話ボックスを知ってる?」

「ええ。昔に存在してた電話よね、固定回線しかない時代に四角い箱へ緑色で外にあった」

「あーなんかそういうの。ちょっと使ってみたくない?」

「うーん。そうね」

「だよねー、とりあえず鳴る時出てね」


行列が突然途切れドアが現れた

先を行く数人がドアを明け部屋にはいる

並んでいたのは公衆電話

カノンと数人は電話に近づく

へぇーとかボタンデカいとか言い合い盛り上がる数人

ビッチも近づき大きな電話を眺めていると



ルルルルルルルルル


鳴り響くベル音



鳴り響く受話器を耳に当てた

「やぁ楽しんでいるかい同胞たち!合言葉をどうぞ」

なぜか老人が元気よく向こうから話しかけられた

合言葉?と小さく呟くと隣のカノンが手を振り口を指してでなんでいいよと言う

「えーと、ピンク!」

適当に叫ぶと下から四方に壁が現れ透明なボックスが覆う

底が抜けた

水が先に落ち、真っ白な空間で自由落下した

「っっあわぁあああ」


「いえーい」

カノンはスカイダイビングに似た格好で両手を広げ落下を楽しむがビッチは声の限り叫んだ

「なにこれええぇぇ」

「落ち続けるジェットコースターだよー」

「死ぬぅぅあああ」


あはは、とカノンは笑いビッチは数分叫び続けた

数人が大きな空間で落下し続ける

人によると慣れたように左右へ飛んで行く

しばらくすると水面が迫り沈んでゆくと

地面についた

四つん這いのままゼェハァと息をしたビッチがしばらく動けないままでいた

「大丈夫?」くるんとした可愛い瞳が覗き込む

「…はぁ、ぜぇ、死ぬかと、思ったわ」

振り絞った声でビッチが言う

「次何にしようかな」

カノンが言う言葉にビッチが一瞬怯んだ

「ねぇカノン私アトラクションはしばらくいいわ…」

「えー、ごめんって。酷めのやつは辞めとくからさ」

ね?とウインクしたカノンを眺める

「分かったわ」

「よーし次は回遊船だねー」


楽しそうなカノンは歩みを進めていく


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bitch angel(ビッチエンジェル) 白井 くらげ @shikome

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