片思いの将棋

清水らくは

ぴょんぴょん

桂馬から跳んで行ってたあの頃の笑顔は二度と手に入らない


少年は震える体押さえつけ「名人になる」唱え続けた


名人は震える指をそのままに「少年だね」と少し笑った


熟考が導き出した歩の一歩ロボットアームも温かかった


高跳びを仕留めた数を誇っても歩は王様を仕留められない


床に落ちた時わかったんだ歩だって一所懸命拾ってもらえる


目の前にあるものだけは傷つける恍惚にあるヤマアラシの歩


歩と歩わり飛びたくなって盤を出るそして歩幸に歩るえることに


動き出す時を待ってる香車には横のことこそ重要だった


ぴょんぴょんと跳ねてるうちはぴょんぴょんが殺意を隠す桂馬ちゃんだよ


腰掛けて待ってる銀を裏切っていつでもねらうまた千日手


ほっといて時には無垢な状態で金の衣を干していたいの


「また僕を切ったね」冷たく笑ってる角は結局君を仕留める

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