第7話 ゲロゲロ

「タカヒロ、お前、もうちょと腹に力を入れろ!」


 見かねた(=疲れた)一郎が言うと、タカヒロは一郎を見下ろすようにして言った。(下から見ると鼻毛スゲー)


「え~、大福出ちゃうよ~ん。いいのぉん? 出ちゃうよお~、ゲロゲローって」


 ああ、超ムカつく。


「でねーよ。お前は昔から食ったものは絶対ださねえだろが!」


 幼稚園の遠足バスで気持ち悪くなっても絶対に吐かなかっただろうが。お前の性格ならお前のかあちゃんよりも、よく知ってるんだよ――。


「んもう、しょーがな……ふぎっ!」


 皆まで聞かず、一郎と田中山のシンクロナイズドフライングキックが炸裂した。


 タカヒロは勢いよくドアにぶつかった。


 ガコン!


 超やな音がしてドアが開いた、というかぶっ壊れて吹っ飛んだ。


 跳ね返ってどっかに飛んでいくタカヒロには目もくれず、一郎と田中山は中に入った、そして見た……。


「「だーれも、いねえ」」


 詰んだ、完全に詰んだ……。

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