眉山にて
島尾
マチアソビってほどでもなく
先日、事情で焼山寺に行けなかった代わりに
ロープウェイの中で、人々がロープウェイの興奮を口にしていた。「正直これが目当てだよね」「うわっ、揺れる」などなど。
山頂駅に着いてすぐ階段があったのだが、壁面にびっしりとアニメポスターが貼ってあった。Fateのヒロインが阿波踊りしているイラストがあり、……他は忘れた。
山頂から見る徳島市街は、まあまあと言わざるを得なかった。正直、東京や大阪を除けば、だいたい地方の街なんてこんなもんだろうと思えた。
登山して来た人々が、ニコニコしながら談笑し、飲み物を飲んでいた。一方で、物憂げに市街を眺める爺さんもいた。そして私は、ただネズミのようにウロウロしていた。
土を固めた道の脇の、さほど目立たない場所に至ったとき。皇室の紋章である菊と、その下に「明治天皇聖徳景仰碑」と書かれた石碑があった。私は高い石碑を仰ぎ見て、敬礼しそうになった。
やはり、焼山寺に行きたかったのだ。焼山寺にさえ行けば、徳島の四国八十八箇所を制覇できたからだ。その邪心を仏様は見ていて、私を連れて行かなかったのだろう。ちなみに焼山寺は、山岳寺院である。
眉山にて 島尾 @shimaoshimao
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
紅葉と渋滞/島尾
★17 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます