第66話
「出ていけ!」
俺は御札を持って駆け出す。
「やっ!」
神奈も俺とともに動き出す。その手には隠し持っていた一振りの短刀が握られている。
「コトリバコ!」
動き出した俺と神奈を見て、四宮さんも動き出す。
懐から箱を取り出し、それと同時にとんでもない呪力hが溢れ出す。
なんだ!あれ!
だが、今は頼もしいッ!
「お前らは動かない」
瑠夏の一言。
春来は動きを止め、動かない。
神奈は動きを止め、動かない。
和葉は動きを止め、動かない。
は?
俺の身体は俺の意思に反してピクリとも動かなくなった。
動け!動けよ!俺の身体!
春来は動きを止め、動かない。
動けなくなっているのは俺だけでなく四宮さんや、神奈も同様みたいだった。
な、何が?
「世界の全てはアカシックレコードに記録されている。それはこの世界も。この世界を記録している世界も同様。我は『全知全能の神』。アカシックレコードを読み、アカシックレコードを書き換える。我はアカシックレコードを読むことでこの世界を記録している世界を知り、アカシックレコードを書き換えることで意のままに世界を操る」
な、何を言っているんだ?
世界は、記録されている?
意味がわからない。
何を言っているというのだ。こいつは。
俺が困惑している間に、今まで動きを止めていた西園寺さんが呆然と瑠夏の方に向かって歩いていく。
「何をッ!」
俺は焦って叫ぶ。
何を無謀な。
「ほっほっほ!いい心がけじゃぞ。小娘。自ら死にゆくか!」
瑠夏の皮を被った何かは楽しそうに笑う。
突然西園寺さんは走り出し、そして、瑠夏に抱きつく。
「ごめんなさい!」
「私の!私の!せいで!私達のせいで!あなたの人生を!先祖の人生をめちゃくちゃにしちゃった!」
西園寺さんは泣き始める。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
「ふん!今更遅いわ」
瑠夏の皮を被った何かは手を手刀の形に変え、伸ばす。
そして、手刀は西園寺さんの背中の方に向き、
「危ないッ!」
俺は叫ぶ。
だが全てはもう遅い。
手刀は降ろされ、西園寺さんの背中を貫く──────。
「え?」
美玲が感じたのは暖かな感覚。
春来の瞳に映るのは、そっと優しく美玲を抱きしめる瑠夏の姿。
「どこに自分の主人を殺す使用人がいるの?泣かないで?」
瑠夏は美玲の涙を拭う。
「僕は美玲に笑っていてほしいから」
瑠夏は美玲に笑いかけると美玲を離し、壊れた玉座に座り直す。
「ごめんなさい……ですが、美玲を殺させるわけにはいかないのです」
「繧「繝ゥ繝上ヰ繧ュ」
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