第6話

「998、999、1000」

 チュンチュンと鳥のさえずる声が僕の耳をうち、暖かな日の光が僕を照らしていた。

「ふっ」

 僕は腕立て伏せを切り上げる。

 トレーニングで流した汗をシャワーで洗い流すため浴室に向かう。

 浴室で汗を流した後燕飛服に着替え、身支度を整える。

 コンコン

 僕はお嬢様の部屋の扉をノックし、開ける。

 部屋に入るとムワッとどこか独特な匂いが僕の鼻孔をくすぐる。

 お嬢様に対して言いたくはないのだが、率直に言うとかなり臭い。

 日常生活では普段嗅ぐことのない独特な匂い、以前腐らせてしまったチーズの匂いを更に酸っぱくした感じだろうか?

 とりあえずあまりずっと嗅いでいたいものではない。

 お嬢様は普段良い匂いなのになぜお嬢様の朝の部屋はこんなにも独特な匂いをしているのだろうか?

 僕はカーテンを開け、窓を開ける。

「お嬢様、朝でございます」

「んっ。はぁ」

「おはようございます」

 寝起きのいいお嬢様は僕が一言をかけただけで起きてくれる。

 実にありがたい。

「ん」

 お嬢様は僕の方に視線を向けず、ベットから降りる。

 朝の僕の仕事はこれで大体終わってしまう。

 朝食を作るのも別の使用人の仕事だし、お嬢様の髪を整えるのも別の使用人の仕事だ。

 僕はただ何かあったときのために少し後ろで待機しているだけ。

 お嬢様と一言も言葉を交わすことなく朝の仕方を終わらせ、黒いリムジンで学校に向かうお嬢様を見送る。

「じゃあ、僕も行ってくるね」

「えぇ、行ってらっしゃい」

「うん。家事お願いね?」

「もちろん!完璧に仕上げてあげるわ!瑠夏君の負担は少しでも減らしてあげないとね!」

「ありがと、じゃあ」

 僕はバイクに乗り込み、発進させる。

 学校の近くの閑散とした駐車場にバイクを止め、制服に着替えてから走って学校に向かう。

 汗一つかかず、学校の近くまで来れる。

 僕は消した気配をもとに戻し、歩いて学校に向かう。

 

 ■■■■■

 

「おはよう。春来」

「おう!おはよう」

 僕は自分の席の前に座る春来に挨拶する。

 こいつは友達の鬼口 春来。

 女に異様にモテるイケメン君なのだが、昔女で痛い目にあって以来リアルの女に興味を失い、二次元に走ったオタクである。

 ちなみに僕は知っている。

 知ってしまっている。

 一部の女子の中で僕×春来のカップリングが流行っていることを。

 春来が女子からの告白を女に興味ないからと言って断るせいで、同性愛者なのではないかと噂がたち、一切女っ気がなく春来と仲良い僕がカップリングされてしまったのだ。

 許さない。

 ちゃんとリアルの女にって言えよ。

 なんで誤解されるような言い方をするんだ!この野郎。

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