第4話

「んー。そろそろいい時間ね!お風呂に入りましょう!お風呂に」

「えぇ。メイドをお呼びしますか?」

「その必要はないわ!あなたが私の隅々まで洗って頂戴」

「承知いたしました」

 僕は椅子に座ってくつろいでいるお嬢様に手を差し出し、立たせてあげる。

 そしてそのまま浴場まで向かう。

「さぁ、脱がして」

「えぇ。もちろんでございます」

 はらりと一瞬でお嬢様の衣服を脱がせ、きれいに畳んで置く。

 そして僕もサクッと全てを脱ぎ、お嬢様にわからないようにお嬢様の目の届かない場所に投げ捨てる。

 この間わずか1秒!

 この練習のために一体どれだけ僕が労力さいたことか。

 自分の早着替えなど物心ついた頃から息を吐くようにできるのだが、他人の早着替えは難しい。

 これのためにメイドさんを一日近く拘束してしまった。

 だが、今では息を吐くように行える。

 全く僕も成長したものだ。

 それと、なぜ僕も裸になる必要があるのか?お嬢様に強制されているのだがその理由が全くもってわからない。

「さぁ!きれいに洗って頂戴!」

「もちろんでございます」

 僕は手でお嬢様の体の隅々まできれいに洗う。

 一切の汚れも残さない。

 きれいに、そして気持ちよく!

 これまた他人をきれいに洗うことが物心ついてもできず、メイドさんを一日拘束してしまった。

 全く昔の僕は無能にも程がある。

 程なくしてお嬢様の体を洗い終える。

「私が瑠夏もきれいに洗ってあげるわ!」

「ふふふ、御冗談を。使用人がご主人さまに洗ってもらうことなどできません」

「……えぇ、わかっているわ」

「それではこちらへ」

 その後、お嬢様の体をマッサージして、浴槽に浸からせる。

 僭越ながら僕もお嬢様と同じ浴槽に浸からせてもらう。

 お嬢様に貧相なものをぶら下げて、私のそばに立たないで欲しいと言われ、仕方なく浴槽に浸からせてもらっている。

 ……貧相じゃないし。そんな事言うならなんで服を脱がせるのだ。

 十分に温まった後、浴槽から上がり体を拭く。

 優しく!気持ちよく!スピーディに!

 そしてサクッとお嬢様の服を着せ、自分の服も着る。

 お風呂を上がった後はすぐに就寝である。

 今日一日ゲームしかしていないが、お嬢様は完璧超人。今更学ぶことなどない。一日中好きに過ごすことが御当主様より認められているのだ。

「瑠夏。一緒に寝てもいいのよ?」

「御冗談を。それではお嬢様。おやすみなさいませ」

「……えぇ」

 僕はお嬢様の私室から静かに退室する。

 毎日毎日お嬢様もよく飽きないな同じ冗談を言い続けて。

 僕は再度浴室に向かい、体をきれいに洗う。

 ちなみにだが、使用人たちもお嬢様が使う浴室を使うことが許されている。

 あそこの浴室はでかいので、使用人全員が入っても平気なので便利なのだ。

 お風呂から上がった後、自分の私室に向かう。

 勉強机に座り、教材を広げる。

 僕はお嬢様とは違い凡人の僕はお嬢様と同じ学校に入学し、そこそこの成績を出すのに苦労するのだ。

「よし、やるか」

 僕はペンを持ち、教材を開いた。

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