自分にグッド

シヨゥ

第1話

 生きるために格好よさはいらない。格好悪くていいとすら思っている。

 格好よく生きることができる人は相当につらい。

 すべてと戦い、すべてに傷つき、すべてに勝ち続けているから。

 ぼくは逃げることを重視し、負け続けている。


 困難に立ち向かい、それを打ち破る。なんとも格好いい生き様だ。

 しかしその裏にそれに見合う分だけのしんどい思いがある。

 ぼくはそんなしんどい思いをしたくない。

 だから困難を迂回する方法をさがすか、あきらめるかを選ぶ。

 何十年も生きるのだ。しんどい思いは少ないほうがいい。

 それに馬鹿正直にぶち当たったところで跳ね返されるのがオチである。

 

「楽に生きよう」

 ぼくはことがあるごとにそう言ってきた。

 言葉にすることで自分にも言い聞かせている。

 たどってきた道は1つでも、この先にある道は1つじゃない。その中から楽な道を選んでなにが悪い。誰かに後ろ指さされたところで他人の正解とぼくの正解は必ずしも一緒ではないのだ。

「自分の評価は自分でしよう。他人の評価は他人のものでしかない」

 これもまたよく自分に言い聞かせる言葉だ。

 『楽に生きる選択ができた』と自分に高評価。他人目線での負けも僕にとっては勝ちなのだ。

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