第4話 無罪放免・上
ラト・クリスタルとクリフ・アキシナイトは
この結果はクリフにとっては
何しろパーティメンバーの遺体を
「いったい
「
ラトはハンカチを
アレキサンドーラはいかなる国家にも
であるからして、カーネリアン家は常に街の
だが、クリフが聞きたいのはそういうことではない。
「なんでそんな
「知りたければ、僕と一緒に来るといい」
ラトは返してもらったステッキをくるりと回してみせた。
持ち手はぴかぴかの金色。
「どこに……?」
クリフは
「もちろん、カーネリアン邸だよ。あそこが
「ばかじゃないのか、今度こそ殺されるぞ」
何とか
でも手紙の
けれどもラトには別の考えがあるらしかった。
「殺されたりしないよ。それに、
「なんだ、面白いものって」
ラトは思わせぶりだ。
「《女神
「ただのレガリアじゃなくてか?」
「そう、特別なレガリアだ」
「いや、知らない」
「うん、そうだろう。いかにも
「なんだと?」
気を悪くしたクリフとは
「
「聞いたこともない話だ、そんなもの、
「レガリアを求めて魔物のひしめく
その
「知りたければ行動あるのみだよ、クリフくん」
ラトは迷いなくカーネリアン邸に通じる道を進みはじめる。
もちろんクリフには、これ以上この変人に付き合う理由などなかった。
この変人の言うことをうのみにして、ひどい目に
もう二度と会うことはないだろう。
三歩ほど、お互いに別方向に進んだ。
先に振り返ったのは、ラトだった。
「ねえ、クリフくん。思ったんだけどさ、君にはまだ
クリフは無視しようとした。
しかし、いつまでもそうできるほどの
*
カーネリアン一族の現在の
グレナは
ひとり息子のエストレイはというと、アレキサンドーラで育った若者の例にもれず、冒険者を
当然ながらそれはグレナの
エストレイが亡くなったのは六日前のことだ。
場所はアレキサンドーラの北のはずれ、
そこで地元の
先に
しかし、彼らの死は街の外でのもの。
もはや
「ありがちな心中事件じゃないか……」
カーネリアン家に
エストレイの死は、
「とんでもない。これは心中なんかではないよ、クリフくん」
ラトは大げさに
「考えてもごらんよ、心中なんかする理由がないじゃないか。エストレイはカーネリアンの血を
「一般的な
「そんなもの、死ぬほどではない。だいいち、そんなくだらない理由で
「
「義理の母親っていうのは、《他人》の別の言い方だよ。何度も言うけれど、エストレイは自殺なんかしない。殺されたんだよ」
「お前の
ラトとクリフは言い合いながら、クリフにとっては
アレキサンドーラの一般的な住居は、入り口以外の部分は石灰岩に直接
けれども、改めて見るカーネリアン邸は見上げるほどの大きさで、セピア色の
ラトがやけに上機嫌にその戸を叩いたとき、クリフは使用人に
もちろん、ラトを連れて行くのは心配だからじゃない。
しかし、すべての予想を裏切って、カーネリアン家の使用人はラトが例の《手紙》の差出人だと知るや
そして
女性は
「私がグレナ・カーネリアン。
夫人は
全身に高貴な女主人としての
彼女がグレナであるというのは、
高貴な夫人が
「そうですか。僕はラトです。ラト・クリスタル。つい
すべての
クリフは
メイドたちに
それから、よせばいいのに、開くとなるとすぐさま《
「それで、カーネリアン夫人。エストレイを殺害した犯人はぶじに
「おい、ラト……少しは言葉を
「だから、何度も言ったじゃないか。エストレイの事件は
「その通りです」
カーネリアン夫人は思いのほかしっかりしたようすで答えた。
「ですから、何かと理由をつけて葬儀の
落ち着き払って紅茶を飲むラトの隣で、クリフだけが驚いていた。
「犯人? 本当にそんなものがいるのか?」
「いるよ。エストレイを殺したのは彼の冒険者仲間だ。クリフくん、君を殴りつけた例の
クリフは二度驚いた。
飛び上がらんばかりだったが、ラトと
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