優しい微睡み

黄昏の空を

ピンクの雲が游いでいく

今日も夜がやってくる


闇はいつもより寂しげで

ベッドの上は

少しだけ冷たいんだ


不確定な明日が僕を弱気にさせる

眠れない今夜は何をしようか


突然のcall

僕を呼ぶ電子音


聞こえたのは愛しい君の声

電波にのって溢れ出す

楽しげな声が

この夜を満たしていく

闇が徐々に薄れてく


おしゃべりな君だから

僕は相づちばかりで

でもそれが

楽しかったりして

君の温度に気が抜ける


Please call me…!


離れていたって

喧嘩したって

ずっと聞いていたいよ

その声を


夜がふけていく

あくびがふえていく


電話越しの眠たげな声音に

そろそろ寝ようかって

声をかければ

君はいつも「もう少し」


微かな君の寝息に

僕も微睡みに溶けていく


電話を切る前の数秒間

君を感じるんだ

そしていつもこう囁くよ


「おやすみ大切なひと」

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