白いベンチ

誰も居ない殻の中

静かな白いベンチが在る


僕は独りで座り込む

心に閉じ籠る引きこもり


手招くように伸ばされた

手のひらはドロリと黒く

溶けて流れたドブの中


閉め出した「他」と

閉じ込める「自分」


心の声は響いて

幾度も僕に降りそそぐ

叫びのように涙を奏でる


半月の光が

白いベンチを照らし出す


ふと気が付いた

足元に

僕の靴跡が歩いている


途切れた歩みを思い行く

立ち上がるには時がかかる

けれど何時か歩み行く


その時までは

半月の光の中で

白のベンチで心を癒す

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