春色アスファルト

光をそむける

顔がにじ

目を落とした先に

アスファルトの道がひび割れる


汚れたスニーカーは

踏みしめる場所を探して

鈍色にびいろにつま先を傾ける


重く歩みを進めて

ひび割れた中にピンクを見付ける

春の花弁かべんのひとひらが

ひっそりとこちらを伺っている


視線をあげて辺りを見回す

目に霞む強すぎた光の中に

ピンクは映らない


君はどこから来たの?


風と踊るひとひらが

伸ばした手の中へふわりと降りた

仲間外れの春の花弁かべん


ザァっと一陣の風が吹く

駆け昇るように手の中から飛び出して

ピンクが空色に溶ける


空の向こうに恋焦がれた

仲間のもとへと駆けて行く

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