ハジケル

留まる思いが喉に詰まって

声が掠れて空ににじむ


紡いでいく綴っていく

僕の言葉は音を知らずに

静寂を歩く


雪原を進む孤独のように

白い色に吸い込まれた旋律が

僕の言葉に手を伸べて息絶えた


乱れて呼吸が揺らぐ

凍てつく全てに黒を投げる

掠れた声は思いを編まない

だからいらない

いらないんだ


二色の世界は僕の帝国

音を知らない素敵な帝国

寂しい淋しいついの帝国


閉じ込めて……綴じ込めて……

なおも留まる思いが喉に詰まって


もがいた僕の音がハジケル


詰まった声が喉を震わせて

音が白を突き抜けて

駆け抜ける旋律がハジケル


色が満ちる

全てを満たす


奏でる音は鮮やかにほとばしる

飛沫のように僕を駆ける

ついの帝国を駆けていく


音を知らない二色の世界は

絶えた音を手繰り寄せて

塗り変わる空は歓喜の喝采を贈る


ハジケル ハジケル

音が 声が 言葉が 色が

ハジケルから


だから僕は大きく息を吸って

思いの限りの言葉を奏でる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る