春の夜の香りがする
濃紺の夜空に生暖かな風が吹く
風の向かう先を仰げば
ぽっかりと白い月が浮かんで
淡い光を灯している
肺を満たす空気は澄んでいて
雪の冷たさに凍ることはもうない
どこからか香る花のかおりに
体の力が抜けて
ほぅ、とひとつのため息
空に揺蕩う
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