014  白雪姫と初心者



*>>ユキ視点



 私の目の前でナユカが一緒にゲームしている。彼女が終始しゅうし楽しそうにはしゃぐだけで私は嬉しかった。




 さて、ナユカのことだからきっとなにか突拍子とっひょうしもないことをしてくるに違いない。そんな顔してる。どんな弾幕が飛び出してくるか楽しみ。


 まあ、初めてのバトルだし、ナユカはたぶん近接攻撃とかは考慮こうりょしてないと思うから、私は動かずにその場でナユカの弾幕を待つ。さすがに近距離戦に持ち込むのは反則な気がするしね?


「そ〜れっ!!」


 と、ナユカが両手広げてクルクル回り始める。そこから大量の弾幕を放つナユカ。それらの弾幕はかなりの範囲に散らばり、それぞれバラバラにナユカを中心に回り出した。


 もちろん私の所までその弾幕は届いている。って…。すごいいっぱい出すわ〜。絶対MP見てないでしょう?これ。あ、てか見れてないのかな〜?見方を教えるの忘れてた気がする。ステータスらんで見ようと思わないと表示されないからね。ナユカまだHPしか見えてないんじゃない?



 いや〜、どんどん増えるな〜…




 まるで竜巻のように飛んでくる弾幕を次々に避けていく。その間にもどんどん魔弾を中心から放つナユカ。


 う〜ん、これでおしまいかな?そろそろ攻撃してもいいかな…。弾は多いけどこのくらいだったら躱すことは容易だし、躱せなくなったらこっちも魔弾当てて相殺すればいいんだし。よし!


 そうと決まればにナユカのいる竜巻の方へ飛び出す。走りながら躱し、時には魔弾で相殺しながらだんだんと距離を詰めていく。



 が、しかし。その距離が半分になった時それは起こった。ナユカがクルクルと周りなが出していた弾幕をピタリと辞めたのだ。


 あれ?動きを止めた?なら今のうちにもっと近づいて…ッ!!


 その時ナユカは自分の前に魔弾を出現させる。その魔弾が次の瞬間燃え始めたのを私はは見てしまった。そしてナユカがその後ろでニヤリと笑っているのも。




*>>三人称視点





 

 (我ながらだいぶ出したね…?でもそろそろユキが動きだすと思う…来た!!でもまだ焦ってはダメ。私の弾幕の密度が高い所まで引き付けてから、よし!今ッ!!〔火炎〕〔躱す〕これを極小サイズで10個!!さらにそれを1箇所に…。生成!これを…。〔叩く〕ッ!!!いっけーッ!!)


パーーーーーン!!!!!


 勢いよく吹き飛んで行く〔火炎〕属性の弾幕。そしてそれらはユキ目掛けて飛んでいく。それを確認したユキはとっさの判断で辺りに〔水〕属性の弾幕をばらまいた。

 もし、今のままナユカの竜巻のような弾幕が〔火炎〕に触れると魔弾どうしは一瞬で燃え始める。そんなことが起きれば、辺り一面は山火事が如くユキをこんがりと焼いてしまうだろう。弾幕に当たらなくとも、少なくないダメージが入ってしまう。


 それを防ぐために少しでも自分の周りの弾幕だけでも消そうと考えての行動だった。しかし、ナユカの放った〔火炎〕が弾幕に当たろうとした瞬間、減速もなしにあらぬ方向に進路を変えてしまう。


「なっ!!?」


 そしてそれらの弾幕にデタラメな角度からぶつかる〔火炎〕の魔弾。


 魔弾の性質として、その魔弾を放った人物の同一属性の魔弾は互い同士が当たらず、そのまま軌道を変えることも無く通過する。しかし、違う属性の魔弾同士がぶつかった場合は干渉し、属性を消したり、変化させたりするのだ。そしてそれは物理的にも干渉する。つまり、軌道も変えてしまうということだ。


 結果。一定方向から飛んできていた竜巻のような弾幕は、途端にまるでビリヤードの弾のように互いが互いをはね飛ばしながら形をくずしていく。


 ユキからしてみればいきなり全方向から弾幕におそわれる形になった。そして、ナユカを攻撃しようとして竜巻の中まで来てしまっていたため逃げ切ることも難しい。普段そんなにミスなど絶対にしないユキがまんまと油断した瞬間であった。


 次々に襲い来る弾幕、それを必死にかわし、水の魔弾で打ち落とすユキ。次第にあたりは炎に包まれ、ユキの魔弾が火炎弾を防ぎきれなくなってきた。


(やばいだんだん対応出来なくなってきた!!継続ダメージも入ってる!!)


 パーーーーーーン!!!!!!


 ユキの耳にそんな音が聞こえて…


「きゃっ!??」


 ユキは盛大に吹き飛ばされるのであった。

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