EC:189  ウルフ オブ エンペラー



「お、おかえり〜。ちゃんと倒した〜?」


「うん!みんなは?」


 私が詐欺師を倒しみんなの元に戻ると、全員もう既に揃っていた。たぶん予想通りだろうけどとりあえず聞いておく。


「ん〜。余裕〜」


「むしろユキが苦戦するイメージがわかないね」


「それほどでも〜」


 ユキは負けるわけがないよね。ユキに勝てる人なんているのだろうか…。


「私も大丈夫であります!!」


「軍曹の軍隊はもう相手にはしたくないかな?前もギリギリだったし」


「また、手合わせお願いしますであります!」


 いや、数の暴力はなかなかキツイのでやめて。



「何とかなって良かったー!!色々無くなって出費がとんでもないですけどねッ!!」


「アイテム使いの宿命だね〜」


「もっと優遇してほしーい!」


 アイテムは高価なものが多いからね。それを作れたとしても、素材集めが大変そうだ。ヒヒリーさんは半分やけになりながらちょっと涙目だ。



「ん。ナユカ。余裕」


「それはそれで傷つく!?」



 ヒカリさんは仮にも私のコピーを相手取った。敵とは言え、少しは苦戦して欲しかった…。いや、結果、弱くてよかったんだろうけどさ…。グスン。



「あれ。ナユカじゃない。ナユカの本領発揮は。ステージの上。気にしなくていい」


「うん。ありがとう」




 結構真顔で言われると、少し照れる。


 いつもヒカリさんは真顔だけどな!!!




「さて、先に急ごうか〜」


「ん。まだ。敵は仕掛けてくる」


「油断大敵であります!!」


「だね!」


「ですよねー…」



 もちろん、シルエットなんて今まで沢山出てきた。そのランキング上位が出てきだけで、苦戦なんてしていられない。



『全員!頭上注意!!』

「散開!!」





「「「「ッ!?」」」」



 全員、ナビィの警告が聞こえてすぐ。視線をあげる。それと同時に気がついたユキが皆に指示を出した。新手の攻撃。

 それぞれが、最短でそれを避ける!



 頭上から現れたのは、巨大な隕石。それが私たちがいる所を目掛けて落ちてきていた。


ドコーーン!!!


 なんとか全員下敷きになることはなく、回避に成功する。…が。




バコォーン!!!!


ワオォォォォォォーーーーーーーーン!!



 

 咆哮。



 隕石の中から現れたのは、犬…。いや狼。大きな体を持った、白銀の狼。

 あぁ、あれだね。ファンタジーものでだいたい出てくる子だよ。出来れば可愛いのが良かったなぁ。


 その名を。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


緊急イベ■ト


 群れ■絶対王者、■■の狼王 フェンリル


勝利■件:■■■■■の■破

敗北条件:■により■■


緊急:■により■■の■■■■■へ付与。■■■■の出現操作■■。■■■に近■く■レイヤー■■■排除。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 イベント表記が壊れてる!!!





ワオォォォォォォーーーーーーーーン!!



 う、うるさい!!


『各隊!!守護部隊は接触部隊に近づく狼の群れを撃破してください!!接触部隊は急ぎフェンリルを突破しマザーに接触してください!ハルト、アリア両名は急ぎ、接触部隊に合流してください!後30秒で増援が到着します。左右と前方の狼は3部隊で抑えてください。第4軍到着は、後10分予定です。接触部隊は追いつかれないように!』



 めっちゃナビィが焦ってる!?


 狼の王…。咆哮…。集まってくるその他狼…。


 俗に言うあれかな?「仲間を呼ぶ」的な?それで全狼が私たち目掛けて。…正確には狼王目掛けて集まってくる…と。


 シルエットよりも狼は雑魚だけど、数だけなら絶対にシルエットよりもやばい数が、それも津波のように来る!!



「みんな!行くよ~ッ!!」


 ユキとヒカリさんはその可能性に気づいたのか、かなり険しい表情をしながら、フェンリルの方を睨みつけていた。


 逆に、軍曹とヒヒリーは、その2人の険しそうな表情に困惑しているようだ。しかし、この2人が、こんな表情をするほどの何かが来ることはすぐに悟ったらしく、即座にフェンリルを見つめた。



「こいつを躱して突破。かなりハード」


「後続の狼に追いつかれたら、それこそリンチだよ~?空も割れ目だらけだから迂闊に中高度まで登ることもできないしね~…」


「遠回りもできないであります!」


「ぐ…。お財布がどんどん軽く…」


「躱せても追いかけてくるよね?」


「たぶん」



 うーん。最悪☆





 ってやってる場合じゃない!?早速フェンリルが突進してきた!!



 速!?!?



ガキャン!!!?


「くっ!!?」


 咄嗟に扇子を開いて爪を受け流す。的確に首を狙った飛び掛り、その爪は大きく長い。そして鋭い。そんなもので首なんか引っ掻かれたら、即死だよ!?


 そのままフェンリル本体の体を何とか躱し、再び睨み合う。

 意外と軽いから吹き飛ばされなかったのは不幸中の幸いかもしれない。




「全員!移動しながら最大限フェンリルを防御主体で!出来れば攻撃!!」


「ん。HP出た」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


狼王 フェ■リル

HP HP 0├────────────┨

2,000,000,000/2,000,000,000


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 なんということでしょう!!


 タダでさえ強かった黒龍。実にその4倍のHPとか倒させる気あるのかっ!?


 無くね!?



 絶対にこの人数で挑むボスじゃないよね?

 本当なら、本来のゲームとして合間みえたかったかな…。






「っ!?全員!遠距離攻撃に注意!!」


 ユキの注意にフェンリルを見ると、その背後に紫の弾幕が浮いていた。

















 いや…、あれは!











 違う!!!




「あれ!!紫オーブだよ!!!絶対に触れないで!!!!!!」




 私が叫んだタイミングと、そのオーブが弾幕として放たれたのは同時だった。







作者コメント


高評価よろしくお願いします!

 

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