EC:162 リニア運行!!
アリアが白状したその情報に、ビュアはとりあえず自分の体制を整え、たぶんかなり衝撃が来るであろうメンタル面に何重ものプロテクターを貼り付ける。
ないよりマシだ。心の準備が整ったので、そのままビュアはアリアに向き合い問いかける。
「どういった経緯でそうなって、どうやってやったのか教えて貰っても?」
しばらくして、アリアの説明を聞きながら動画を取り、どのように編集して世に送り出そうか考えるビュア。
と言うか、視聴者にどうやって説明したものか。ビュアは自分の胃がもつか心配である。
「それで…。その子は今どこに?」
「ここですわ」
アリアが見せてくれたのは指輪。
その指輪はブラックシルバーのリングに真っ黒な丸い宝石でできていた。シンプルな作りのように見えるが、実は複雑な模様が描かれている。
「普段は指輪になってもらってますわ。主人がピンチの時なんかは、自分の意思で出るみたいですけど…」
「なかなかいい綺麗な指輪ですね」
「ありがとう」
ビュアは素直に指輪を褒め、アリアも満更では無いのか。素直にお礼を言う。
「今、呼び出すことは出来ますか?」
「えぇ、いいわよ。ギル」
「きゃぉっ!」
そんな可愛い鳴き声とともに姿を表した子黒龍は、アリアほほにその小さな体を押し付け、撫でろ撫でろと言わんばかりにじゃれついている。
アリアもしっかりそれに答えてあげるように子黒龍をなでなでしていた。
「想像していたものより100倍可愛いですね?」
「ですわ!」
そんな小動物みたいな行動と、以前よりもはるかに小さくなったギルの姿にビュアも素直に驚いたようだ。
「しかし…。困りましたね。従魔が欲しい人は沢山いますが、なかなか簡単には獲得できないようですね…。魔法陣も複雑。ミカさんの協力ありでやっとできるレベル。更に意外と使う魔法系のアイテムも多数。何より核が無いと話になりません」
「普通のモンスターから核は取れないのか?」
核と聞いて、ミカがビュアにその核の獲得はできるのか聞いてみたが、答えは…
「いいえ、聞いたことないですね…。普通のモンスターからは素材になるようなアイテムしか入手できていません」
「黒龍だけってはずはないと思うんだがな…」
「これも何か条件があるのかもしれませんね」
「条件か…。ま、今は考えてもしょーがねーな。…それより!まだリニアシステムをつついてないんだぜ!ビュアも含めて3人で行かないか?」
「そうですね。謝罪の意も込めて生配信で行きますよ」
「了解ですわ」
3人はとりあえずカツ丼を食べ終え、マスターの店をあとにする。何が始まるのか分からないがこれから巻き返せばいいとビュアの表情にもほんの少し余裕が戻ってきていた。
*
「なかなか入り組んでますね?」
「〔地図〕に〔印〕をつけておいたから道には迷ってないぜ?」
「私はもう…。今どこら辺なのか考えるのをやめましたわ…」
3人はとりあえず、先程のリニアシステムを起動した機械の部屋までたどり着いた。
「じゃあ生配信を開始しますよ?」
「おう!」
「ですわ!」
『やっぱり生配信できたか…』
『待ってましたー!!』
『みんな予想してたのな?』
『まあ、「リリース」だし?』
『それな』
続々と集まってくる視聴者。どうやらビュアが生配信すると踏んで待っていたらしい。あっという間に視聴者は増えていき、アホみたいな同時接続数に達する。
「さて、そろそろいいですかね?」
『待ってましたー!』
『いいよ』
『早く』
『kwsk』
『情報プリーズ』
コメントも爆速で流れていく。
「まずは謝罪会見から」
「あー…。なんだ、その…。すまん。ノリで解放しちまった」
「ごめんなさいですわ」
『いきなり謝罪でワロタ』
『いや、別に公開してくれてるだけで全然いいよ?』
『むしろありがとうじゃね?』
『1番怒ってるのはビュアな?』
『ノリと勢でそんな新要素バンバン見つけられるのか…』
「とまあ、ワールドアナウンスが流れたあと、即ビュアに呼ばれてここから離れたせいでほとんど未知だから今から生配信で色々解明していくぜ」
『やった』
『一部地域だから中央闘技場周辺?』
『木星圏の我。見ることしか出来ず…』
『火星上に同じく』
『月。同じく』
『以下同文』
「リニアはちゃんと動いてるんですの?」
「立体フォログラムを見る限りまだ動いてはないな」
「とりあえず動くようにするにはどうしたらいいか調べましょうか」
そう言い、3人はとりあえずそのフォログラムを囲みながら色々いじってみる。
「あ!ありましたわ!」
見つけたのはアリア。そこにはこう書かれていた。
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リニアご乗車案内
・初期段階で〔電力〕を用いてEPを合計1万。改札で投入してください。
・1度動き出すとダイヤ運行が始まり、一定の間隔で各リニアが動き出します。
・解放済み路線内の駅は、1度解放すると元の状態には戻りません。
・動き出したら各プレイヤーがご利用時にEPを改札で消費して乗ることが可能です。
・EPは行先どこでも低速リニアなら20EP。高速真空リニアなら50EPかかります。
・駅に一定以上のダメージが入ると、その駅にリニアが一定時間止まらなくなります。
・路線が破損した場合はそこから先への運行を一定時間見合わせます。
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「よしっ!改札行こうぜ」
「1万EPなんてありますの?」
「無い。ということでこの生配信見てる奴ら!今すぐここに来なー!」
「まあ、それが1番早いでしょうね」
『我木星』
『我火星』
『我月』
『以下同文』
『いってきまーすw』
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