EC:159  飽和限界ってなにー?



 アツキ…さんを倒した私たちは戦利品である赤のオーブを獲得する。


 2対1は卑怯ひきょう?私は単騎だとまだまだ弱いからね?なお、観客がいない場合に限る。


 〔魅力〕が最大限発動してると私はMPほとんど無限に出せるし。集団戦は得意なんだけどなぁ…。敵も魅了すれば1発だからね!


 私に見とれちゃうと火傷しちゃうぜぇー?



「何してるの〜、早くオーブ取りなよ〜?」


「あ、ごめん」


 ユキに急かされたので大人しくオーブを取得する。



《スキル・飽和限界突破 を獲得しました》



 え?なんかいかつい名前のスキルがきた…


「何だった〜?」


「なにこれ〔飽和限界突破〕って?」



 そもそも何が飽和ほうわするのか分からないんだけど。突破していい事あるの?


「あぁ〜。それ赤レアなのに使いどころが限られるから、ハズレスキルだね〜」


「え!?ハ、ハズレなんてあるのっ?」


 えーー?せっかく頑張ったのに…


「そもそも弾幕飽和なんてそうそう起きないからね〜」


 んーーーーー…んーーーー?んー…


「弾幕飽和ってなにー?」


「あ〜…。そっからか〜…。えっとね〜…。たまに弾幕を飛ばす時に、指定した個数より少なく感じることない?」


「えーーと…。たまにあるね。花火弾幕の時とか結構減ってることあるよ?あれ前々から不思議だったんだよね…。それがなんか関係あるの?」


 前々からたまに何も無い空間で消える魔弾は目撃していた。あれは何か打ち消したりできるスキルなのかな〜と思ってたんだけど…


「大ありだよ〜?魔弾には存在個数の限界があってね〜。広さに魔弾や攻撃が存在できる上限ってのがあるんだよ〜。それを超えちゃうと〜、その飽和限界まで攻撃がかき消されちゃうんだ〜」

 

「え?そんな仕様があったの?」


「まぁ、まだ〔魔力〕が出てきてすぐの開拓期間で見つかった仕様なんだけどね〜。その飽和限界が無いとゲームが成り立たない場合があるからなんだよね〜」


「なんで?消えなくても良くない?」


 よく分からないけどその飽和限界って、別になくてもいいよね?なんで消えちゃうのさ…


「ところがどっこい!これがいるんだよ〜」


 ユキがなんか可愛く胸を張ってる。ふんすっ!


「例えばだよ〜?相殺できない攻撃…。例えば〔飛撃〕が360°。前後、上下、左右から余すところなく全方位から飛んで来たら回避不可能じゃない?」


「ワンライフでそんな攻撃が飛んできたような…」


「あれは例外〜」


「まぁ、ゲームだしね」


「まぁ、そんな攻撃が飛んできた瞬間負けが決まるような弾幕が出来上がるんだけど。それだとその戦法で仕掛けた早い者勝ち勝負になっちゃうよね〜?」


「先にその全方位弾幕を出した方が勝ちなのか」


「そ〜そ〜、そんなバトルだけになると、そもそもつまらないワンパターンなゲームになるでしょ〜?」


「楽しくないね」


「でしょ〜。それを阻止して、いろんな戦法でバトルしてもらうために運営は飽和限界って仕様を作ったらしいんだよね〜」


「よく知ってるね?」


「これ、全部ヒカリが昔言ってたから間違いはないよ〜」


「なるほど。ヒカリちゃんナイス」


「それで〜、その飽和限界があることによって、範囲はんいに比例して攻撃量が減っていくから、そんな攻撃をしてきても回避が可能になるってわけ〜」


「う、うん」


 また難しい仕様が…



「わかりにくそうだね〜。じゃあ2次元で考えてみようか?」


「うん」


「真ん中に自分置いて〜。そこから半径10メートルの位置に自分に向かってくる魔弾を360個置いていく。すると囲まれて逃げられないよね?」


「奥行無しだと無理だね」


「それが近づいてくると、7メートルラインでランダムに1割が消える」


「ふむ」


「6メートルラインで更に3割が消える」


「おお…」


「5メートルラインで更に5割消えていく…。って感じで範囲が狭くなるとどんどん限界個数が減っていくんだよ〜。こうやって見てみると〜」


「ちゃんと躱せる攻撃になる!」


「そゆこと〜。他にもスピードや、大きさによってちょっとづつ飽和限界が変わってきたりするよ〜」



「なるほど!よくできてる!!」


「ちなみにMPを消費せずにその場にあった岩や物といった「自然物」で全方位攻撃をすると飽和限界は存在しなかったりする」


「ハルトさんの剣で全方位攻撃したら最強じゃね?」


「放出するのにMP使うから消えるよ〜」


「対策済みかー」


 色々スキルがあったり攻撃手段がある分。そんな活用方法を損なわないようによく考えられてるね!



「問題はその飽和攻撃にはMPが大量に必要なんだけど〜。回避されちゃったらほぼ負けが確定するのと〜、限界が緩くなったところで誰もその飽和限界まで弾幕張ることが無いからほとんど使われないんだよね〜」


 あれ?



「私MP回復できるよね。大量の弾幕を広範囲に降らせる。たまに弾幕消える…」



「…あ、あれ〜…」


 ユキも同じ結論に至ったようである。



「やばい…。ハズレスキルかと思ったら…。1番あげたらいけない子にヤバイスキルが渡ったかもしれない…」


「私もっと弾幕出せるようになったから【恒星流姫「ペンタゴンスター」】とかもっと弾幕密度を上げられそうだね?「ダブルペンタゴンスター」とかやってみる?」


「あっ…」




 ハズレスキルがけた瞬間である。ちなみにこの時ユキはなぜハズレスキルと言われている〔飽和限界突破〕が赤オーブなのかを一人ひっそり理解した。それは革命後化けること織り込み済みでレアリティが設定してあるということを。



ステータス



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



名前 ナユカ


職業「アイドル」

所持金 199 958 300G

ギルド「力の解放」

ランキング:85 003 408 597位

ランク:R


HP

0├──────╂────┤


MP

0├──────╂────┤


SP

0 ├───────────┨


GP

0 ├───────────┨✕


EP

A ┠───────────┤可能出力100V


WP

0┠───────────┤10 〇


CP

-5├─────╂─────┤5


称号「回避の極意」「覇者」「半公式プレイヤー」




《スキル》


『パッシブ』


「原型」

魔力 気力 霊力 電力 妖力 魅力 


「強化系」

体力強化 魔力強化 職業強化


「生活系」

食べる 家事 計量


「感覚系」

暗視


「突破系」

飽和限界突破


『アクティブ』


「属性系」

火 光 風 水 土


「変化系」

火炎 爆発


「鑑定系」

植物鑑定 鉱石鑑定 物品鑑定


「色彩系」

赤 青 緑 紫


「動作系」躱す 回す 伸ばす 直角 止める 減速 連動 集合 舞う 帰還 条件 打ち上げ 曲げる 振りまく 追尾 緩急


「設置系」

魔法陣 設置


「音響系」

歌唱 効果音 録音


「表示系」

地図 表示 隠蔽 掲載


「部位系」

足 手


「命名系」

技名 合技


「技術系」

短剣術 剣術 槍術 弓術


「造形系」

星 針 魚 桜 獅子


「体術系」

叩く スーパーアクセル 蹴る


「防御系」

防護 受け身


「装備系」

装備


「生産系」

鍛治 裁縫 調理


「飛行系」

ジャンプ 飛行 フライ


「状況系」

逆境 鼓舞


「行動系」

拍手 笑顔 投擲 与える 微笑 ポーズ


「?」

念話 アイドル





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【煌星流姫「ペンタゴンスター」】


【舞戦扇武「ダンスフィンブレード」】


【昇華星林「トゥインクリング ナイトフラワー」】


【赤眼発動「ワールドビュー」】


【君と咲かせよう】


【弾幕響鳴「スピリチュアルビューティ」】


【月降翔姫「バンブーロケット」】


【一閃流星「アクセルスター」】


出血(停止)






 作者コメント


 ちなみに細かい設定はまだあったり。追加でできたりするかも。飽和限界は 015 ら辺にも実は存在しています。この時からある仕様なのにいつまでたっても説明されず、今頃登場。なお〔飽和限界突破〕のヤバイところは『パッシブ』だということ。




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