V1.50  従魔と輝かしい契約を



 そこに現れたのはかつての黒龍…。では無く。



「あー…。なんだこりゃ?」


「一応?成功ですわ」



 何故か前よりも小さくなった…。子供の黒龍のようである。


「きゃぉ?」



「うちはもっとでっかいのをイメージしてたんだが…」


「可愛いからいいのですわ!!」


「いいのかよ…」



 前よりも100倍可愛くなったその子黒龍にアリアは即座に魅了されていた。生まれたばかりの黒龍はとりあえずキョロキョロと室内を見回している。


「えっと、えっと…。どうすればいいのか分かりませんわ!」


 未だ魔法陣の中央にいる黒龍はアリアの方をじっと見つめている。まるで何かを待つように…



《システムを起動します。権限検索中。該当項目クリア。プレイヤーアリアにスキル〔従魔〕を寄与します》


 そしてアリアにだけ聞こえるシステムアナウンスが異例のスキルをアリアに付与したことを報告した。


「す、凄いですわ。スキルを貰うことは初めてですわよ…」


 これにはアリアも大変驚いたようでたった今貰ったスキル〔従魔〕の詳細を確かめる。


ーーーー


スキル:従魔


カテゴリー:命令系

ランク:白

発動:オート

概要:〔従魔〕契約を交わすことが可能。従魔になるとその親密度によって自動で主人のために尽くしてくれる。命令系スキルと併用すると忠実に動いてくれる。


ーーーー



「これはいよいよ面白そうな展開だな。ビュアのためにカメラで録画しといたうちを褒めて欲しいぜ!」



《従魔契約を開始します》


 そうアナスンスがかかると、今度はアリアと黒龍の体が光だし、その光はお互いに向けて伸びていく。その光がぶつかるとシステムは最終段階に入った。




《従魔に名前を着けてください》



「な、名前…」


「その前にこの子オスかメスか分からないと、着けようが無いぜ?」


「た、確かに」


 どうにか調べてみようとメニューを開いてみるが、一向に黒龍の情報はってない。


 だが、その時。



『よっと!!ごめんねっ!お嬢ちゃん達〜、こちらGM〜♪さっきから少し見てたんだけど〜、この黒龍の情報が欲しいんだよね〜?』


 いきなり現れたそれに、アリアもミカもびっくりして硬直している。GMと名乗ったそれはまるで仮装大会でもしているのかと言うくらいの、黒のずくめコートに白の仮面をつけた変態。という名にふさわしい見た目をしていた。

 ユキがいたなら咄嗟に「セバス2号」というあだ名と弾幕を叩きつけそうな見た目である。


「GMがなんの用ですの?」


 何とか状況を理解出来たアリアがGMに向かって警戒しながらそう問いかける。せっかく成功した魔法になにか問題でも発生したのかと警戒しているのだ。



『いやいや〜♪君たちが初めてだからね〜♪こっちも不備があったみたいだから今マザーにそれを報告していたんだよ〜。それが通ったらある程度情報が開示されると思うからその説明に来ただけだよ〜♪あと少しだけ待っててくれるかな?』



 アリアの問いに、そのGMは妙にハイテンションで答えた。


「なるほどな。それなら待とうか」


「わかりましたわ」


 その説明を聞いて大人しく待つことを決めたアリアとミカ。GMは少し安心しながらもその2人に話しかけた。


『いや〜、それにしてもすごいね〜?マザーの予想だとまだまだ先に進んで、プレイヤーの実力がある程度上がらないと出来ないはずだったんだけど〜♪2人でクリアしちゃったんだね〜?』


「そりゃー、あれだ、うちらは「リリース」だからな!こういうのが好きなんだぜ。きっと」


「そうですわ。私たちは新しいことを努力して開拓して、それをゲームに反映された時の喜びがいいんですわ」




『…ドMかな?』



「ち、違いますわ!!」


「苦労した分、達成感が味わえるだろぉ?それだよ」



『なるほど♪』



 そんな雑談もあっという間。唐突に。



《システムをアップデートしました。これより従魔のステータスを一部開示します》



『おっ♪来たようだねー?それじゃ〜僕は仕事に戻るよ♪じゃぁーね〜♪』



 そう言って颯爽さっそうと消えていったGM。



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従魔ステータス


種族:龍種(黒龍)

名前:無し

性別:オス

成長段階:1(幼体)


備考:かつて4人のプレイヤーの前に現れた試練の番人。その試練を乗り越え、倒した者の中で黒龍自信が1番気に入った者に、自分の魂の核「黒龍のコア」を授ける。いつか自らの主人たる者に成れる。そう信じ最後の試練を与える。コアは魂。故に黒龍の核であり、その解凍は困難を極める。しかし、ついに主人は黒龍をそのコアから呼び覚まして見せた。

「我はなんじに付きい。共に困難を乗り越え、汝がいつか消えてしまうまで、共に有ろう」


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「これは…。反則よ…」



 アリアは未だに魔法陣の中で大人しくしている。幼体の黒龍を見つめる。後ろからでは見えていないミカでもわかる微笑みをアリアは浮かべ、そのまま両手を伸ばしてこういった。





「あなたの名前は「ギルバート」。ギル。頑張った甲斐がありましたわ…」




 名前ができた黒龍。ギルバートはアリアに飛びつきその小さな顔を近づけでアリアの頬をぺろぺろ舐める。


 そんな、ギルをしっかり抱きしめながらアリアはミカに振り返った。


「感謝しますわ。ありがとうミカちゃん」


「おうよっ!手伝った甲斐があったぜ!!」





 その後しばらくギルはそのままアリアの腕の中にいた。

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