V1.38  「それぞれの心に宿る」

*>>三人称視点





 プレイヤー達はそのイベントのカウントダウンをただただ見つめて待っていた。というよりもそれ以外のアクションが取れないとも言う。


 現在闘技場が封鎖され、オーブサーチも少し前から機能停止がなされている。

 ちなみにオーブショップやアイテムショップ。各種ギルドまでも閉店または封鎖処置が取られていた。



 何も前情報がない。


 プレイヤー達は何が突破かつ強制イベントが起こるのでは無いかとザワザワしていたが、とある集団を見てそこから波のように静まり返っていた。


 もちろんその集団とは、「CSF」同盟である。このギルドは何故か昨日から不信な点があるなど、何かイベント情報を入手していると噂されていたのである。




 そしてその原因がもうひとつ。



 「リリース」のメンバーで唯一、いつも問題の最中にいるはずの2人がいないのである。

 

 ユキとナユカがいない。つまり…。まあ、そういうことだよなぁ〜。と察した人間も一定数いた。






 こうしてついにそのイベントカウントダウンがゼロになったのであった。








*






 暗い。この時間。


 いっせいにプレイヤーは闘技場の観客席に振り分けられる。もちろん闘技場ひとつには入り切らないので、チャンネルを同時に何個も使ってプレイヤーをある程度ギルドやフレンド、パーティーで振り分けたようである。


「さて、動画準備もバッチリですね」


「ん」


「今回は実況もいらないから楽でいいですよ!」


 ビュアはカメラ(透明)を飛ばし、ヒカリとアキアカネがその両サイドを占める。


 今回このふたりは他の半公式プレイヤーとは違い、休みという。他の半公式プレイヤーから恨まれるようなタイミングでこうして悠々自適に観客席にいた。

 というのも休みが取れた理由として、ユキとナユカへの半公式プレイヤーへの連絡員として先んじて働いていた功績のおかげだったりする。抜け目ない2人である。



 そして…











「【弾幕響鳴「スピリチュアルビューティ」】」


 ナユカは技を発動させた。ちなみに既に、


【君と咲かせよう】

【赤眼発動「ワールドビュー」】


 は発動済みである。


 そして白雪姫衣装のユキも新しく作った技を発動させる。


「【アップルダンサーの舞踏会】」


 きらめくユキ。そして。


「よし〜!じゃあ行って来るね〜」


「うん!頑張ろうね!」



 キラキラと輝く雪を散りばめながらユキがクルクル会場を大きく周回し、RBGのアレンジされたBGMが流れ始めた。

 徐々に明るくなっていく会場。

 音楽に合わせてユキは弾幕を放ち始めた。それはリズムに乗り、様々な変化を遂げる弾幕。









「踏み出した 世界の中 今は小さく光る 一等星」





 ナユカが歌い出し、さらにナユカも弾幕を発動。手動で桜の弾幕を会場の端から時計回りと反時計回りに2つづつ、計4つ桜が舞い上がるように吹き出す。



「その夜の足音は 淡い幻想 写す万華鏡」



 その桜は螺旋らせんを描き、それぞれがクロスするように模様を作り出す。そんな弾幕に合わせて今度はユキが魔法を使って風を生み出し上空で桜の弾幕を操る。


「千差万別の色を 空へ放つ」


 今度はナユカがたっている場所にユキが魔法陣を設置。



「飛び出した 世界の中 今は大きく見える 流星群」


 そこから舞うように退避しつつその魔法陣の周りにさらに小さな魔法陣を設置するナユカ。ついでに上空の弾幕に予め組み込んで置いた〔止める〕を使い。停止させる。



「誰かの音色は まるで夢を 見せるマッチ棒」


 その頃ユキはその停止した桜の道をまるで踏み台のように縦横無尽に踊りながら弾幕を撒いていく。





「光輝きながら 空へ消える」


 ナユカは声をひびかせながら観客を魅力し、ユキは舞いながら弾幕を放ち。ステージにいろどりを加えていく。



「例えば 花火大会のような 夜の花を

 例えば 吹雪のような 冷たい美しさ

 例えば 無機質な 淡々としたもの」



 ナユカの歌う歌詞に合わせてユキは弾幕を花火のように打ち上げたり、かと思えば、吹雪を起こし、そこをミカちゃんからこっそり借りた。武装。重砲を〔装備〕し、まるでレーザー光(当たると大ダメージ(シールドが張られています))を何十本も走らせる。



「全てを 個性と言うならば 今から始める 舞台に きっと 「私」が…」





そして。ナユカの歌がサビに突入する。それと同時に先程のユキのナユカの魔法陣が作動し始め。綺麗にパーティクルを出しながら、真ん中に小さな芽が生まれる。

 ナユカはその上に飛びながら歌をつむぐ。

 魔法陣から出た芽はすくすくと育っていき、ついにナユカのところまで枝を伸ばした。




「集まって! ここに」


 歌に合わせて集まるさくら桜の弾幕。




「集めて! ここから」



 さらにナユカが光だし、それに合わせるように桜の弾幕が発光しだす。




「変わるGAME 変わるBARRAGE

 あなたは唯一無二のREAL」

 



 出来上がったのは、どこから見ても桜の大木。


 サビの最後。




「さぁ! 始めよう 革命を

 これは 私たちの物語 その個性を」




ユキがさらに細かな弾幕をキラキラ下から吹き上げるように飛ばし。




「いま解き放て!!」



 その大木の桜の花びらを共に飛ばしていく。


 その桜の花びらとキラキラとした粒子は会場中に降り注いだ。













(ダメージは無いよ!!)







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






歌詞


 踏み出した 世界の中 今は小さく光る 一等星

 その夜の足音は 淡い幻想 写す万華鏡

 千差万別の色を 空へ放つ


 飛び出した 世界の中 今は大きく見える 流星群

 誰かの音色は まるで夢を 見せるマッチ棒

 光輝きながら 空へ消える



 例えば 花火大会のような 夜の花を

 例えば 吹雪のような 冷たい美しさ

 例えば 無機質な 淡々としたもの

 全てを 個性と言うならば 今から始める 舞台に きっと 「私」が…。



 集まって! ここに

 集めて! ここから

 変わるGAME 変わるBARRAGE

 あなたは唯一無二のREAL

 

 さぁ! 始めよう 革命を

 これは 私たちの物語 その個性を

 いま解き放て!!




作者コメント


 厨二病をふるで発動させたおかげで歌詞作成に3時間かかったのは内緒。

 ちなみにフルであるので後々回収します。というかタイトル回収もする歌詞なのでだいぶ先の話ですが…。とりあえず作者は重症を負ったのでまた明日。

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