V1.05  それはきっと反動で。私はそれを無自覚でいた。

>>ナユカ視点





「ナユカさん…」


「ん?」


 私がモンスターを倒し終わると、後ろからビュアさんとアリアさんがやってきた。2人ともなんか苦笑いしてるけど…。なにかあった?


「あ、いえ!とりあえずここら辺は一掃できましたかね!?」


「こ、このでかいのがノアですの?」


 あ、なんか2人とも言動が怪しい!私の知らないところでなんかあったんだ!ぶー!!私も知りたかった!あからさまに2人とも目を合わせてくれないし!



『ナユカ〜。こっちももう終わるけどどう〜?』


『うん!終わったよー』


 私が2人に何があったのか問う前にユキから〔念話〕が飛んできた。ユキなら仕方がない。気にはなるけど後にしてユキに返答しておく。


「ユキもそろそろ終わるみたい!」


「ではノアはひとまず無事ですかね」


 うんうん、もうモンスターもほとんど見えないし、地図表示されている赤点は目に見えるほど減っている。この程度ならたぶん野良のプレイヤーとかが通りすがりにやっつけてくれるよ。ゴブリン弱いし。

 他にも地図には闘技場の周辺にたくさん赤点があるが、赤点に負けないくらいには青点。つまり味方のプレイヤーもそれなりにいるから大丈夫だと思う。


『一旦、みんなでノアに入ろうか〜』


『了解』


 〔念話〕条件の問題で私としかユキは念話出来ない。なので私がユキの提案をみんなに伝える。



「ユキがノアに集合だそうです!」


「あの中にはいるの?」


「ですです」


「おぉー…。動画映え…」



『ビュアちゃん心の声がもれてるよー』

『配信者ならそこ気になるよな〜』

『中入れるの!?』


 ビュアさんの配信者魂はひとまず置いておくとして。

 中で待機しているアリオト艦長に、とりあえずモンスターを殲滅せんめつし終わったことを報告してあげないとね。


 ついでになんかさっきアナウンスされてたミカちゃんのこともユキなら何か知ってそうだしそのことも聞こう。








*






「ナユカ〜。おつかれ〜」


「うん!ユキもお疲れ様。ハルトさんも」


「俺が着いた時にはほとんど終わってたんだがなぁ‪w」


 私たちはノアに集合し、ここには私とユキ、ビュアさん、ハルトさん、アリアさんがいる。しかし、やはりと言うべきかミカちゃんの姿がどこにも見当たらなかった。


 ひとまず、この合流した5人でパーティーを組みなおしておく。


「ミカちゃんは今どこにいるの?」


 落ち着いたところで何か知ってそうなユキに聞いてみたのだが…


「場所までは分からないんだよね〜」


 あれ?


「じゃあ何してるの?さっきなんかワールドメッセージが飛んで来てたけど」



「大規模戦闘システムってやつを起動させたのは間違い無いだろうけど〜…。少し遅れると送ってきたきりメール無いんだよね〜」


 この感じだとユキも知らないところでミカちゃんが何かしたのかな?


「まあ〜、大丈夫でしょ〜、ということで中入ろうか〜」


 私の心配をよそに、ユキはさっさとノアの中に入っていく。ユキはそこまで心配してないのかな?でも大規模戦闘システムなんて物どこで見つけたんだろうね?…お?っとと!!

 考え事をしながらユキのあとを追ってノアの中に入ろうとしていると、うっかり足を滑らせてしまい転けそうになる。


「大丈夫か?」


 私の後ろにはハルトさんがいたおかげか、咄嗟とっさに支えてくれたので転けることはなかった。


「考え事してたら足を滑らせちゃって…」


「気をつけろよ」


「ごめんなさい」


「ま、怪我してないならいいけどな」



 うん。考え事は歩きながらしてたらダメだね。あと、意外とハルトさんが紳士的というところに少しだけ驚いた。アリアさんが…まあ…

 こんなこと考えてたらまた転けそうだからやめてさっさと行こう。


「早く進んでくださいですわ…」


「うっせーなぁ‪w お前足遅いんだからちょうどいいだろうが‪w」


ブチッ


 あ…


「ナユカさんとビュアさんは先に入っといてですわ」


「あ、でも…」


「入っといてですわ!」



「「は、はいッ!」」


 こ、怖ッ!!アリアさんの横に般若が見えるよ!!あと左手に魔弾浮かせてるし!!あれ赤点滅ってことは爆弾じゃん!!

 私たちは2人でそそくさとノアの中に逃げて行った。

 だからきっとノアの外で聞こえた爆発音は気の所為に違いない。そうだよ!きっと!たぶん…


 ハルトさん強く生きてね…





*




 私たちは外で起きているであろう惨状さんじょうは気付かないふりをして中で作業をしていたアリオト艦長に防衛成功を報告する。


「よくぞ退しりぞけてくれた!」


 それを聞いた艦長は、疲れ果てていた顔に光がさすかのようにキラキラとした目をこちらに向けている。イケオジがその顔は似合わないよ?


「本当に助かった。こちらもこのノアの電源を復活させていた所だ。ありがとう、君たちのおかげだ」



《「ノアNo.2」の防衛に成功。緊急シークレットクエスト:「ノアNo.1.2.5.7」の死守をクリアしました》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


緊急シークレットクエスト:「ノアNo.1.2.5.7」の死守

 各艦「ノア」シリーズの死守。または協力関係を構築せよ。


勝利条件:どれかひとつでも「ノア」の死守成功。

敗北条件:全艦「ノア」の大破。「来訪者」の全滅。


クリア状況:クリア


1:防衛成功。損耗率42%。

2:防衛成功。損耗率0%。

5:未発見。損耗率100%。緊急脱出中。

7:接触中断。防衛中。損耗率79%


「ノアNo.7」はイベント継続中。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 艦長がそう私たちを労うと同時、クエストクリアのアナウンスがかかる。


 ただし、この感じだとNo.5は既に落とされてNo.7は、プレイヤーがもしかしたら劣勢ってことかな?


「アリオト艦長。こちらの情報だと5は大破。7は結構ピンチみたいなんです!!どうにかできませんか?」


 私がそのことを艦長に報告する。勝手に報告しちゃったけど多分大丈夫だよね?ユキもそこまで気にした様子は無い。すると艦長は…


「そうか…。5号はやられたか…。船員と乗客は脱出できてるといいのだが…。それに7号も…。もしもだが、7号の大まかな場所はわかるかな?落下した惑星だけでもいいのだが…」


 大まかな場所まではクエストには書かれていない。私が答えかねていると…


「今、仲間と連絡して見るよ〜」


「こちらからも視聴者にコメント求めてみましょう。知ってる方いらっしゃいますか?」


『No』

『残念ながら』

『知らないなー』



 あまり成果なしかな?


『っと!もしもし!!聞こえるかー?』


 そんな時に私たち「リリース」のメンバー全員にここにいないもう1人のリリースメンバー。ミカちゃんの声が聞こえてきたのだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る