381:ダンジョン攻略①
ダンジョンを進む。一階層、フロアの大きさは……どれくらいかは判らない。でも……第二階層に降りる階段まで、普通に歩いて三十分くらいか。
(ここはダンジョン……迷宮なのだよな?)
(ああ。そうだな)
(それにしては迷わず進むな。村野は)
(ああ。俺は錬金術士兼、魔術士でもあるからな。【魔力感知】ってスキルでなんとなく……このフロアの穴……流れが判るからな)
これは本当だ。魔力の流れで、何となく階段=魔力の濃い第二階層への入口が判る。
それは判るんだけど。
そもそも、俺の天職は
というか、ここまで無策で来てしまった。
よく考えなくても、俺は前回この一階層で万里さんとショゴスを助けた際に足を踏み入れたのが、初めての「自分所有以外」のダンジョンだったのだ。
……なんで「どうにかなる」と思ってたんだろう。魔術でドカーンとぶっ飛ばせばどうにかなる……と思っていたわけじゃない。自信たっぷりだったのか良く判らない。
あ。そうか。あまりにも自分のダンジョンに慣れていたから、「自分はダンジョンの専門家である」という変な自信が生じていたのかもしれない。
で。どうしようかな? と絶望というか、途方に暮れるというか、悩んでというか、迷っていたら。
それにしても、このダンジョンはどんなダンジョンなんだろうか? と考えた瞬間に、判ることがあるのに気がついた。
ダンジョンの構造が……感覚的に理解出来る……?
この力と、【魔力感知】によって、さらにすいすいと、ダンジョンを進んでいけるようになった。
なんとなく、自分の向かっている先に点在している魔物の存在も感知出来ている。このダンジョンは初心者向け……と言われていて、
第一階層
レベル08 ホブゴブリン
レベル11 ホブゴブリンソーサラー
レベル12 ホブゴブリンプリースト
第二階層
レベル10 ロックリザード
レベル12 ツインヘッドスネーク
第三階層
レベル08 ソードスケルトン
レベル12 スケルトンナイト
レベル13 スケルトンメイジ
こんな感じで階層が深くなるほど、敵の種類が増加していく。
つまり、現在第一階層であり、行く手を阻むのは、若干大きなゴブリン、ホブゴブリンとその仲間達ということになる。
当然蹴散らす。
第一階層は多くがソロ。群れとしてつるんでいても、数体だ。「風刃」で上手いこと誘導して「石棘」で一気に殲滅する。
(村野はイレギュラーというか……特異点なのだな。理解した)
(何を今さら)
(普通の地球人は……例え大人でも、魔物に石の槍? で穴を開けたり出来ないハズだ)
(あ、ああ。そうだな……魔術は使えないかもな)
(そもそも、異世界を転移、移動している時点で特異点でしかない)
そりゃそうか。そういえばそうか。ショゴスには何となく最大の秘密まで見せてしまってるけれど……アレってヤバいんだよな。
俺も現状の自分の立場? が、良く判らなくなってるな……特異点と言われてしまうくらいレア……なんだよな。忘れてるけど。
発見されてまだ日の浅いこの迷宮、現在の最高到達点は第四層。つまり、今から降りる先だ。
三層までと変わらない石畳が続いている。通路の幅は若干広くなっているだろうか?
このフロアには……
第四階層
レベル18 ビッグボア
が待ち受けている。
とりあえず、このダンジョンは初心者向けだという噂が広まったばかりなんだそうだ。
そのため、階級の高い冒険者は利益が少ないだろうと予想し、ここに挑んでいないそうだ。
なので、多くの冒険者が、第四階層で襲いかかってくる黒い群れ、ビックボアの大群に、文字通り蹴散らされている状況らしい。
まあ、正直、俺に取っては既に敵では無い。情け容赦なく、猪を粉砕していく。ドロップアイテムの肉と皮はなるべく回収している。
猪の肉はそれなりにレアだし……何よりも美味しい。獣臭さは一切感じないのがスゴイ。
特にダンジョンのドロップ品として珍しいモノでは無いけれど、売ればそれなりに高価で買い取って貰えるし、何よりも、コレをマイアに渡せば、絶品の肉料理となって、数日は幸せな気分になれる。これはデカい。ということで、幾らあっても困らないのだ。
冒険者が攻めあぐねているというのが判る……場所に到達した。それなりに大きい広間に……ビッグボアが五頭、うろついている。
階段はこの広間の奥の通路にある様だ。そりゃ第六層に到達しないよな。
なんて、このダンジョンの問題を考えたりもしながら……「石棘」でザクザクと、そりゃもうザクザクと穴を開けてしまう。
不思議なもので……どんなに大きな穴を開けても、アイテムをドロップするときはちゃんと、倒した猪のサイズの皮が手に入る。肉も……だ。ダンジョンのドロップ品の仕組みって不思議。
大猪をものともせずに殲滅した俺達は、前人未踏の第五階層に足を踏み入れたのだった。
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