058:実用魔術
ちなみに今回もらったプレゼントは全て、現実世界に持ち込むことが出来た。
「姿隠しの指輪」はレアなんじゃないの? と思ったのだが……何回か使っていると壊れることがあるらしい。それも追加で天の声さんが教えてくれた。
使った後に崩れるそれは、自分から解除と思ったり、戦闘開始したり、魔術を使うまで消えたままだそうだ。うん、性能は悪くないよね。でも壊れちゃうんじゃなぁ。
毎回、使い捨てと思って使うアイテムのレアリティはそんなに高くならないか。
と、プチ検証をしつつ。本格的な検証を開始する。え? 何の? っていうか、そうです、魔術です。ワクワクが止まらないよ!
検証場所は当然ダンジョンだ。ソレ用に、第三階層を作成した。
泉から川が流れ、石畳、土、砂、様々な床を設定し、片側に森や林を創る。
ぷち砂漠……砂丘か。には石造りの石柱も用意した。何かと的になってくれるハズだ。
◆地:大地操作
地属性の魔術は、大地を操作するというもの。まあ、落とし穴と壁が作れると思えばいいだろう。
正直……ガッカリ性能だった。落とし穴を創ろうと思って術を発動する。んーんーんーんー……グググッと下がっていく地面。50センチ四方の穴を作成するのに大体三十秒くらいかかる。
さらにガッカリだったのは壁作成だ。俺のイメージ的に「壁よ!」と術を使うと、ズザッと壁が出来る感じ? だったのが、とにかく遅い。穴開けよりも遅い。さっきと同じくらいの50センチ四方の壁を隆起させるのに一分は掛かった。
魔術適性が5でこれか。これは……なぁ。もう少しレベルが上がらないと使い物にならないな。
何よりも……俺には壁の代わりになる「ブロック」があるからなぁ。ブロックは短時間で確実に俺の前に壁を生み出してくれる。バカにするのはいかんと思うけれど、これを戦闘で生かすやり方が想像出来ないや。
◆水:水生成 回復水
水を生成する。これ普通に使えると思う。本来は長期間のダンジョン探索なんかで非常に重宝されるハズだ。コップとか器とか「そこを水で満たしたい」と思った場所に水が生成される。一回に最大どれだけの量が生み出せるのか判らないが……風呂桶満杯くらいは余裕だった……非常にコスパの良い術だと思う。
次に回復水は……コップ一杯生成するだけで、現在の最大魔力の半分は使用したと思う(この辺のあと何回この術を使える? はなんとなく判る)。
そんな回復水の効果は、微量の体力の回復と、消毒らしい。うーん。生成量から考えて、あまり無駄使いはできないか。ただ、この回復水と薬草等を調合すると、高性能なポーションが精製できるらしい。まあ、調合精製するには「錬金術職人」の天職に就かないとダメみたいだけど。
ということで、水生成も回復水も、俺のダンジョン生活ではあまり役に立ちそうはないな。
◆火:着火 火球
着火は、まさに火付けだ。火打ち石やライター、チャッカマンも無しで火が付けられる。キャンプで便利かもしれない。指先にポッと生まれる小さな火は、見つめていると非常に気持ち良い。消費する魔力も非常に少なくて済むみたいだ。火を生み出す魔力よりも回復する魔力の方が多いのかもしれない。
ああ、魔力は数時間単位で睡眠すると、大きく回復するのだが、実際には常に回復し続けている。もの凄く微量だけど。なので、それが上回れば、術を行使しし続けることが可能ということだ。
火球は……まさにゲームなどで知っている、ファイヤーボールだ。生成したい場所に火の玉を生み出して、放つと爆発する感じだった。
魔物の群れの真ん中に火球を生成し、爆発させる。一撃でグレーウルフを吹き飛ばした。
さらに、自分の頭上に火球を生成し、それを相手の方に飛ばして爆発させるっていうのも出来なくはない。ただ、当然だけど、火球が迫ってくれば、魔物は逃げる。いくら魔術が凄くても、逃げられちゃ意味ないよね。
飛んで行くスピードもそれほどじゃない。びゅーんよりも遅いと思うんだけど。
ということで、火球は敵の群れの只中で生成し、爆発させるのが効率が良いように思う。
◆風:風刃
そして……一番使えると感じたのが、この「風刃」だ。文字通り、風で薄い刃を生み出し、それを高速で撃ち出して対象を傷付ける。これが初撃から、それなりに太い木の枝を斬り落とした。
ズバッと飛んでいって敵を切断すると解説にあったが、本当、そのままだった。ゴブリン、スケルトン、さらにあの固い甲殻を持つアントですら、一撃で寸断した。
ちなみに、連射も出来る。うーん。アニメとかで忍者が手裏剣をシュシュシュと投げるくらいのスピードで発動できる。
これは結構スゴイ。
オーク相手に検証したが、当たり所が悪くても、部位切断寸前の致命傷。当たり所が良ければ回復能力などお構いなしで、腕や足が分断される。
さすがのオークも四肢分断されてしまえば、回復できないし、それ以前に首を刎ねてしまえば、魔石やアイテムを残してあっさりと死亡する。
正直、「風刃」を中心に戦闘するのであれば、オークは既にボスクラスの敵ではなかった。
……まあ、オークを十体、広間に配置して、モンスターハウス化させた。
ボス部屋に着いたら、ヤツラの首の高さで「風刃」を適当に発動させる。
あとは……立っているオークが居なくなるまで、適当に魔術を使い続けるだけだ。
こりゃ、周回が捗りそうだ……。
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