056:副職選択

「俺は、わくわくしてるぞーーーーー!」


「うるさいのよぅ。迷宮創造主マスターは時折、無駄に大きい声を出すのよぅ」


 し、仕方ないじゃ無いか。こんなシステムを目の前にしてワクワクしないワケが無い。


 ジョブを選ぶ、いや、天職だったか。うん。文字通りだよな。天から授かった職ってことだもんな。それを選べてしまう。


 ぶっちゃけ、俺の天職は「迷宮創造主」だったわけで、それは選べなかった。が、そのおかげで、本来なら選べない天職を、自由に選択できる。こんなの……冷静でいろって方が無理だろう。


 とりあえず、シロの言う通り、非戦闘天職は無しだ。ファンタジー世界で仕事しないといけないなんて、ダンジョン活動しかないのだから無理がある。

 さらに、現実世界のきな臭さだ。とにかく戦闘能力をベースアップしたい。


 なので戦闘天職。


戦士、剣士、槍士、拳闘士、魔術士、癒術士、弓術士、盗賊、吟遊詩人、付与術士


 この中から選ばないとか。


 普通に考えれば……現在の自分の戦闘方法や習得スキルの事を考えれば、「剣士」なんじゃないかと思う。


 剣と盾を装備して、戦う。まあ、剣を使うという選択肢は「切り裂きの剣」というチート武器が最初からあったという理由なんだけど……既にこちらの世界で……修行時間は一年以上が経過している。


 そりゃ、身体に馴染むよなぁ。


 ただ、このまま「剣士」の天職を選んだ場合。既に自分の習得しているスキルが 被るんじゃないか? という不安もある。


 これは……ただただ勿体ない。スキルなんてそんな簡単に手に入るものではないし、それが有る無しで、敵を倒せる倒せないに直結する。した。


 よし、重複する可能性のある「剣士」は無しだ。そして「剣士」を却下した以上、近接戦闘にこだわる必要は無いだろう。


 そうなると……わくわく……やはり、「魔術士」。か。天の声さん(いつの間にかその名が俺の中で決定しているな……)オススメでもあるし。

 そもそも、俺自身、昔からゲームで自キャラを創る場合、ほぼほぼ、魔法使い系なのだ。何故かは良く判らない。遠距離攻撃が好きなのかな? とも思ったが、弓とか銃とかにはそこまで興味はない。

 アクションRPGだろうが、通常のRPGだろうが、選択できるのなら大抵が魔法を使うキャラ&ジョブを使用していた。


 戦闘……全般を考えれば、癒しの術、技を使えそうな「癒術士」もなぁ……有りなんだよなぁ。うーん。悩むなぁ。


 あ。隠密行動とかするとなれば、「盗賊」も有用なスキルを得られるかもしれない。


 ……よし。決めた。


「「魔術士」だ! 俺は! 「魔術士」になる!」


「またいきなり、うるさいのよぅ」


「シロ、俺は「魔術士」になるぞ!」


「わかったのよぅ。さっさと選択すればいいのよぅ」


 マルチモニターに表示されている天職のリスト。「魔術士」の表示に触れる。


 ん? 何も変わらな……。


 副職に「魔術士」を設定しました。


【平静】【魔術壱】が使用可能になります……と思い浮かんだ。


・「魔術士」は魔力を使用して自らの願望を具現化させる天職です。レベルが上がると強力な術を行使出来るようになります。

・【魔術】スキルを覚えるとそのレベルに応じた術が使用可能になります。

・自然現象を模倣した効果を発生させる関係上、金属製の武器、防具を装備した状態で術を発動すると微妙な操作が困難になります。

・術の習得、熟練度の上がり方は自身の持つ属性適性に大きく影響を受けます。地水火風の属性値が1253の場合、火の術の熟練が最も上がりやすく、次が風、水と地は苦手ということになります。術の使いやすさも、それに準じます。


 ……明らかに天の声さん作な説明文も続いた。判りやすい。ありがたい。


【平静】はレベルと共に術者の精神状態を安定させる効果がある様だ。というか、これが無いと術が完成するまでに至らないらしい。さらに、レベルが上がると威圧等の精神攻撃も防げるようになると。


 この【平静】はジョブ特性と呼ばれるタイプのスキルで、常時発動する。いわゆるパッシブスキルだ。転職するとその職の特性に上書きされる。このスキルを他の一般的なスキルの様に他の天職でも使用するには、天職レベルをとんでもなく上げないといけないらしい。


 そして……今回一番大切なのが【魔術壱】だ。このスキルのことを考えると、幾つかの呪文が思い浮かんだ。これが……魔術……魔法、呪文……か。


「シロ、俺の属性適性って判る?」


「判らな……魔術が使える天職に就いているなら、「属性確認」と考えるだけで頭に思い浮かべるのよぅ」

 

 そうなのか……。「属性確認」……


「地水火風:5555」


 ん? オール5? 


「オール5なんだけど」


「……「迷宮創造主」は本来、魔術系天職の能力の高い者で無ければ就けない特別天職です。なので、属性適性が最高値でも不思議ではありません。恐らく、癒術の聖属性、付与術の闇属性も4か5、あります……なのよぅ」

 

 なんかもう、天の声さん、面倒くさくなったのか適時対応してくれてるけど……。本当はダメなんだよね……。


 さらに【魔術壱】関係で伝わって来たのは……。


地:大地操作

水:水生成 回復水

火:着火 火球

風:風刃


 これが呪文ってことなんだろうか? 


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