006:基礎構造
塗装済みフィギュアが入っていた事は最大の驚きであったけれど。さらによく分類して見れば、特殊パーツの作り込みもかなりエグイ。
ロゴブロックのこの手の箱モノ、キットは、通常のブロックに、そのキット専用の特殊パーツが追加されて構成されている。それこそ、テーマに合わせて、美容院のパーママシン、病院の機材とか、車のタイヤ周り、大砲などの銃座パーツ、原作などで登場した特殊な階段etc……非常に多岐にわたる。
キットで仕上がる造形物のアクセントとなる非常に重要な部分だ。
当然、これが増えればコストが上がる。
普通は数パーツ、多くても数十パーツといったところだろう(主に子どもの頃の記憶なので確かじゃないけど)。
それが……。
ダンジョンの重要ポイント? を表示するプレートに始まり、松明、冒険者の残した血文字の手がかり、床に描かれた魔法円、魔方陣、朽ち落ちている各種家具、破片。宝箱も、木の宝箱、銀色の宝箱、豪華な宝箱。さらに扉も木の扉、鉄の扉、大広間の扉……みたいに数種類用意されている。どんなダンジョンがデザインの元になっているのか知らないが、牢屋フロア用? の鉄格子も各種用意されている。
さらに、多分、珍しいのが……壁だ。ロゴブロックで壁と言えば、当然、レンガ壁の如く、ブロックを積み重ね、並べて構成する。まあ、なので壁パーツはあまり存在しない。パネルとか、看板みたいな装飾程度だろうか?
だが、このキットでは、部屋ごとに奥と片側の一面を壁にする様な設計になっていて、ソレ用のパーツが用意されている。その壁が……舞台の書き割りの様なノリではあるが何種類も用意されているのだ。パッと見た感じ……灰色の石壁、茶の石壁、白の石壁、金属っぽい壁。さらに、そこに色々と模様やオブジェが描いてあるモノも存在した。
数も多い。単純な柄なら三十枚。複雑な柄でも十枚は用意されている。
その他にも松明の壁掛けスタンド、燭台、大きな水晶玉、玉座、トラバサミや罠の起動スイッチ、ワープ床?、鈎縄、樽も複数。一つ一つが尋常じゃなく細かい。
「すごいな……これ……本当に定価三万円か? 元取れるのかな……?」
はち切れんばかりの職人魂、心意気を感じて、自分のテンションが上がっていくのが判る。ちゅーか、これ半額なら、もうひと箱購入しても良かったくらいだ。
全てを箱から出して、パーツ毎に分別されているビニールを開けていく。まずは説明書通りに組み立てることが大切だろう。
説明書によれば「ダンジョン」の基本構造は、部屋、広間とそれを繋げる階段で構成されている。まずは試しにスライム部屋、コウモリ部屋、ゴブリン部屋が紹介されていた。どれも2S、Sサイズの最小カテゴラリモンスターなので、部屋自体も小さくて良く、作りやすい。
「……それにしても……壁だけじゃなくて、全体的にアイテム数多いな。最近のキットはこんなボリュームなのかな」
何となくだけど、俺の知ってるキットよりも通常のブロックも多い気がする。昔買ったヤツは、この手の大きめの箱にかなり余裕を持って梱包されていた記憶があるのだ。まあ、正直に言えばスカスカ気味? それが、このキットだと箱にギッチリぎゅうぎゅうに詰め込まれている。というか、良くこんなに入ってたな?
ってでも……そこまで重くなかったのは何故なんだろう? うーん。俺が大人になったから? 基礎的な力の差かな?
まずは、部屋を二つと廊下を二つ創ってみた。一つ目の部屋には扉が付いていない。普通にちょっと広い廊下みたいな感じか。二つ目はグレードアップ。扉付きだ。行き止まりなので奥に木の宝箱を設置する。
廊下⇔部屋⇔廊下⇔扉付き部屋。面白みのない直線的な造りだが最初の最初。プラモデルなら素組みみたいなもんだ。
第一の部屋にはゴブリンを三匹。剣のヤツを二。斧のヤツを一、配置する。ゴブリンは他に三匹いるけど〜盾、魔法使いか。多分、パーティを組む様になっているんだと思うけど、まずはいいや。
で、廊下。そして次の部屋。扉付き。二番目に入る部屋だからね。そこにはファングバッドを二匹とマッドドックを一匹配置した。部屋に入ってコウモリに襲われて慌てているとそこに親分的な犬が襲いかかってくるという設定。笑。
ああ、やばい。すげー楽しい。なんていうか、フィギュアに加えて完成する廊下や部屋のクオリティの高さに、テンション爆上がり状態だ。TRPGでこれを使って遊んだらスゲー楽しいんじゃないだろうか? 実際にTRPGはプレイしたこと無いけど。
一人で家で、ブロックで遊んでいるオッサン……言葉にするとかなり悲哀溢れる状況だと思うんだが……うん。スゲー楽しい。いいよな。こうするために、俺が買ったんだし。楽しんでも。
と、テンション高めで作業していたが、しばらくすると、マイナスポイントも見えてくる。
これ、さすがに複数階、縦にダンジョンを作るのは難しそうだ。二階層分……くらいは出来るかな? それ以上にするにはブロックパーツが尽く足りない。特に一番大きくてカッコイイ、ラージカテゴラリのレッドドラゴン。コイツを配置して戦闘出来る様な部屋を作るのは大きさ的に厳しそうだ……って、うーん。
改めて、レッドドラゴンを見る。
このデカいのは普通にショーケースとか飾り棚に飾るんでもイイよなぁ。スゴイ出来だ。正直、アンバランスな気がする。作れるダンジョンの大きさ、規模に比べて、フィギュアの量や大きさのバランスが取れていない。これは基礎セットってことなのかな? 続編が出るなら買っちゃうな。予約が必要になるんじゃ無いか? 後でネットで調べよう。
ロゴブロックのこの手のセットでよくあるのが、メインパーツだけを組み込んで、後は汎用パーツを沢山買って組み上げてねっていう方針だ。このセットもそんな感じ~なのかな? まあ、そりゃそうか。これだけ立派なフィギュアと特殊パーツだとなぁ。予算、ここに注ぎ込んじゃったんだろうな。続編の
単純なパーツ集で儲けないと……。
って。うん? あれ、これは……。
箱の中、端にくっ付いていた……これは……カード? いや、お札? 七夕飾りの短冊の短いやつというか……。
[完成の合言葉は「クリエイト・メイクダンジョン!」※この詠唱は確実に為されることとなる※]
あ。え? なに、それ、あ。あれ? なんで? 口から……こ、言葉が……じ、自分の意思と関係な……くっ。
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