第57話 明かされる理由 後編



「ありがとう!またね!」


魚を食べ終えた鳥が飛び立ち、リーアは鳥が見えなくなるまで手を振った。

鳥が見えなくなると一直線にルナの父親の元へ歩みを進める。


「ルナはどこ!!!

あの子は私が貰っていくわ!!!」


両腕を組み、ルナの父親を睨みつける。


「そう簡単に娘はやれん!!!

近くで見ると益々娘に似ているが、、、お前も俺の子か?」


「そんなわけないでしょ!!!」


リーアとルナがギャーギャーと言い合っている間も、魔王様は動じない。

多分興味が無いのだろう。

そんな姿を見ていると僕も冷静になってきた。

座って一緒にご馳走を頂く。


「、、、わかった。

こちらの条件を飲んでくれるのなら娘を解放しよう。」


突然ルナの父親が折れた。


「条件?

そんなもんいくらでも飲んであげるわよ!!!」


「では娘、お前がルナの代わりに犬族へ嫁に行け。」


さすが親子、考えることは同じか。


「行くわけっ、、「行かせるわけないだろ!!!」


リーアの言葉が大きな声で遮られた。

声の主は僕の背後に居た。


「リーアを嫁にだ?

ふざけたこと言ってんなよ、おっさん!!!」


先ほどまで空気のように存在感の無かったライルだった。

歩みを進め、リーアの前に立つ。


「絶対にリーアは嫁には行かせない!!!」


「ナイスよ!ライル!

そうよ!私は嫁になんて行かないわ!」


味方が増えたリーアの態度が大きくなった。


「ならば、他の条件を飲んでもうがいいか?」


「リーアが嫁に行く以外なら何でも聞いてやる!!!

勇者の命すらくれてやる!!!」


とんでもないことを叫ぶライル。

またも僕の背後から大きな声が聞こえた。


「てめぇ!ライル!人の命を勝手にくれてやるな!!!」


自力で登ってきたジェイクだった。



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