第37話・心配する弟子と元気な冒険者達

 「おう、テメエ等は誰に雇われてターシャとアリシアを狙ったんだ?」(ま、検討はつくが…確証がほしい)


「貴様等に誰が話すか!暗殺者を舐めるな!」


ドス!


 威勢良く啖呵を切ったものの、最後まで残った偉そうな暗殺者の爪先にアイオスの大剣が深く突き刺ささり、足の指を何本か飛ばしながら大剣を引き抜かれ、偉そうな暗殺者は叫び声を上げます。


「ぎゃああああああ!やめろ!いてぇーー!」


「おうおう威勢がいいじゃねえか、次は腕が良いか?また足が良いか?」(両方にするか?)


「ま、待って!待ってくれ!話す!話すから!」


「はあ?聞こえねぇよ!バカヤロー!」


ドス!


 再び、指先を失った足とは別の、指が残っていた方の爪先にアイオスの大剣が突き刺ささり、そしてグリグリと抉りました。


「ぎゃああああああ!」(待ってって言ったのに…)


「おらおら、さっさと話せ!次は腕が良いか?」


「言います…言いますから……」(命だけは…)


「おう、ならさっさと話せ」


「依頼者はマリーノ商会のトニオ・マリーノってヤツです……」


「あー、やっぱあのボケか。みんな聞いたなー!依頼したのはマリーノ商会のトニオ・マリーノだとよ。そんじゃあ…ご苦労さん。とりあえず、てめえは死んどけ!」


ザシュッ!ボト……


 偉そうな暗殺者は衛兵達の前で冒険者達に秘密裏に処理され、用水路で魚のエサになりました。


 アイオス達は衛兵と共にマリーノ商会及び、トニオ・マリーノの捕縛の書類を作成し、速やかに冒険者全員でトニオ・マリーノを捕まえようとするも、今回の騒ぎに参加して居なかった一部の賄賂を受け取っていた衛兵達の密告で、トニオ・マリーノ達にはタッチの差で逃げられました。


 先に逃れた傭兵達と共に東門から出ていったようです。


「くそ、主犯は逃がしたか!」(この手で八つ裂きにしたかったが)


「まあ、東門から出ていったなら遠くには行けんでしょ。既に斥候部隊も出てるっす」(ちゃんと手配済みっす)


「とりあえず、ターシャとアリシア嬢ちゃんに危険が無いなら良しとするか!」


「アイオスさんも随分ターシャとアリシアちゃんを気に入ってますね」


「そりゃそうだろ?大事な仲間だからな」(アイツらは面白い)


「ヘヘヘ、俺達もこれからターシャとアリシアちゃんに悪い虫がつかないように見張りますよ」


「おう、くれぐれもターシャとアリシアには内緒だぞ!何時も色々としてくれてんだしな」(少しは借りを返さんとな)


「へい、分かりましたっす」(ハハハ)


 冒険者達は忙しい一日の暗闘を制してポンチョの酒場に入る前、今日は傭兵と暗殺者の馬鹿供から、たんまり金を手に入れたので朝まで宴会だ!とアイオスが勝どきの声をあげました。


当然、その後に酒場内で行われた宴会の中心には何も知らず、一日中治療院で頑張って治療を行っていたアリシアがいますが……


※ターシャはアリシアの治療院での報酬と、貧民街での炊き出しや一人一人への寄付金などの算定をするための残業が忙しく酒場にはいないのですが…。


「冒険者の皆さん、今日はお仕事遅かったですね?無茶な事して怪我とかしてませんよね?」(心配しました)


「いや、少し依頼に手こずってな。こんな時間から酒盛りよ!なあ、みんな!」(まあ、仲間が無事なら楽なもんだ)


「そうそう、今回の依頼は中々ハードだったっすよー」(そこそこでしたね)


「へぇ、皆さん怪我は?本当に大丈夫なの?」(心配だよ…何時も怪我してるし)


「ああ、みんな大丈夫だぜー!」(ぴんぴんしてらぁ)


「みんな、今日も朝まで飲むぜ!」(嫌な事は酒で流す)


「「「おう!」」」


「ポンチョ、じゃんじゃん酒を持って来てくれ!つまみはオススメを頼むぜー!」


ガチャガチャ、ガチャガチャ…


「はい、本日のオススメと冷たい飲み物です!」(商売♪商売♪)


「おう、こりゃ~旨そうなソーセージだな!」(ヨダレが出たぜ)


「タスクボアとハーブを使った自家製の逸品ですよ♪」(自慢の出来です)


 タスクボアは、同じ銅級のマッドベアよりも若干強くて巨大な猪型モンスターであり、分厚い皮と脂肪で攻撃が通りにくいものの、その動きは直線的なので木を背中にし、直進してきたタスクボアを避ければ勝手に自滅してくれる事が有り、討伐報酬も高い。


 まさに猪突猛進なモンスターであり、木が無い時は目と目の間を強く叩くか突けば割と簡単に倒せてしまう体重が400キロ超え、肉は非常に美味しいモンスター。


「「「いただきます!」」」


 本日のメイン料理はポンチョ特製ジャンボソーセージ、スパイスの効いたソーセージを齧るとパリッとした食感の後に肉汁が滴ります。


 冒険者達は今日1日の疲れが吹き飛び、冷たく冷えたエールが次々と胃袋に消えていったようでした。


 アリシアは今日も冒険者達に可愛がられ、ぐしゃぐしゃにされながらも美味しそうに料理を頬張っています。


 冒険者は元気なアリシアを見て喜び、その健やかな成長を望むのでした。


ちなみに本日のアリシアは何時もの料理プラス、特製ジャンボソーセージ15本と冷たく甘い果実酒6瓶を奢ってもらい喜んで二階の部屋に入っていきます。


 アリシアの笑顔が冒険者達の心を癒し、再度、アリシアには楽しく生活を送らせようと心に決めた冒険者達でした。


※ターシャは金儲けが楽しいようなので仕事をこなせば喜ぶ為除外。









今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!


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