第36話・破壊される傭兵と暗殺者ギルド

 アリシアや冒険者ギルドのサブマスターのターシャの誘拐や暗殺といった行動がエレノ内で行われる中、しっかりと証拠は押さえられた傭兵ギルドは賠償金代わりに金庫内の貨幣や予備の武器や防具などは回収され、窓から飛び出た傭兵達の上役は着の身着のまま逃げ出します。


「ぐぇっ」(強えぇ)


「くはっ」(なんなんだコイツ等)


「テメエ等、次にターシャとアリシアに手を出そうとしたら細切れにして水路に沈めて魚のエサにすんぞ!野郎共!傭兵ギルドを叩き潰せ!」(とりあえず、傭兵ギルドはぶっ潰す!)


「「おう!」」


ガコン!ガコン!ガコン!ガコン!ガラガラガシャーン!


ドゴォォォォン!ドドドドドォォォォォン!


「俺達のギルドが…」(潰れていく…)


 そこそこ大きな傭兵ギルドの建物は、超巨大なハンマーを担いだアイオス以下二百人の冒険者達に建物ごと叩き潰され、残されたのは瓦礫の山……傭兵達は涙混じりの眼で元傭兵ギルドを見て呆然とするしか有りませんでした。


 それを見た衛兵達は悪い事はするもんじゃ無いと唸ると、まだ犯罪に加担していない為に捕縛を逃れた傭兵達は思ったのは後の祭り……しっかりと本拠地崩壊の、ざまぁを喰らったのです。


「ああ、なんでこんな事に…」


「あん?なんだテメエ等まだ居たのか、テメエ等死にたいのか?あ?アリシア達に近寄ったら次は無ぇからな?分かったら直ぐに消えろや!」ギロリ


「ひぃぃぃぃ!」(怖ええよ)


 犯罪に加担しなかったものの、冒険者達と乱闘してフルボッコにされた傭兵ギルド内の六十人余りのベテラン傭兵達は、アイオス達から逃げるように速やかにエレノの町から去り、エレノの東門を越えて何処かへ逃げ去りました。


そして、アイオス達の次の標的は暗殺者ギルドです。


「野郎共!次のお仕置きは暗殺者ギルドだ!あいつ等は存在自体が論外だからな。容赦無く殺せ!」


「「「おう!」」」


ドゴン!ズバッ!「ぎゃああああああ!」


 どうやら、アイオスは暗殺者に対して並々ならぬ憎悪が有るらしく、捕縛ではなく殺害一択の様子です。


ズバッ!「ぐふっ……」


ズバッ!「ぐは……なんだ……あんた等は……」


ズバッ!「なんだだと?てめぇら、俺の身内に手ぇ出しといて生きてられると思うなよ?」


 地下組織である暗殺者ギルドはグラントの街にエルト小国での本拠地を構えていますが、エレノにも拠点を持っています。


 本来ならば各ギルド間は相互不可侵なのですが……今回はアリシアと共に冒険者ギルドのサブギルドマスターのターシャを狙ったのが間違いでした。


 憐れ、闇ギルドの暗殺者ギルドはジャッシュ率いる銅級ランクの冒険者達が得た情報を頼りに拠点を割り出され、アイオス達の襲撃を受けます。


「みんな、暗殺者の塵を掃除するっす!」


「「おう!」」


ズバッ!ドカッ!ゲシッ!ゲシッ!「た、助けて!」(殺される!)


ズパン!ドス!「はあ?誰が暗殺者なんざ助けるかボケ!テメエ等、一人残さずあの世行きだ!」(死にさらせ!)


グシャ!ドス!ドス!ドス!「ぎゃあああああ!死にたくないーーーーーー!」


「喧しいわ!拠点を叩き潰せ!」


ドゴン!ガコン!「おらよ!」


「止めろ!お前等は全暗殺者ギルドを敵に回すつもりか!?」


「あん?お前らが先に冒険者ギルドのサブマスターのターシャとアリシア嬢を暗殺しようとしたんだろが!他の町のギルドにも通告が行くぜ?相互不可侵の掟を破ったゴミ野郎ってな!」


「そんな……それじゃ俺達は……」


「暗殺されるか、今殺されるかだな!」


「さて、暗殺者ギルドは徹底的に破壊しろ!」


ガコン!ガコン!「ほいさ!」


「止めろぉおおおおおおおーーーーーー!」


ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


ガラガラガシャーン!


 二百人の冒険者達に囲まれた暗殺者達は無力でした。


 暗殺者は闇夜の中で不意討ちをしたり、毒で相手を殺すのが本業の為、ほぼほぼ肉体的な能力が上がりません。経験を積めばそれなりにレベルは上がりますが、肉体的な能力を上げるにはモンスターの討伐が必要不可欠です。


 そして、今回の相手はモンスターを倒すスペシャリストで有る冒険者達です。一対一の戦いで、しかも自分達に有利な場所ならば勝てたであろう冒険者達に、暗殺者達は何も出来ないまま完封され、命を落としていきました。


 冒険者達は暗殺者ギルド破壊のついでに暗殺者ギルド内を家捜しして、トニオ・マリーノからの依頼と思われる証拠と手付金を手に入れる事も忘れませんでした。


 一応、証拠を残す為、暗殺者一人を残して全ての暗殺者は、用水路のお魚のエサにされました。


「おっし、暗殺者ギルドのボケは一人だけ残して他は魚のエサにしろ!」


「ヒィ!」(助けて!)


「うちの嬢ちゃんに手を出そうとした事を後悔しろ!」(そして死ね!)


「「「ぎゃああああああ!」」」


 本日のすったもんだでエレノの傭兵ギルドは全壊し、暗殺者ギルドの拠点は文字通り消滅します。


 そして、衛兵達を前にしてアイオスによるアリシアとターシャ襲撃の主犯者捜しが幕を開けるのです。


 普通に考えても、例え暗殺者で有ろうと殺人は罪に問われるかと言えば……それは罪には問われません。


 暗殺者は身体の何処かに所属する組織の刺青を入れており、大なり小なり人を殺しているため賞金首になっている場合が殆どなので、衛兵も周りに待機しており安心して殺せてしまうのです。


 普段ならば、それなりに賄賂を貰って目溢しする衛兵も居たのでしょうが、今回に限り、誰も賄賂を受け取っておらず、暗殺者ギルドの味方をする衛兵は居ませんでした。


※ちなみにアイエスの審判のジャッジでは、罪無き人々を殺した場合はブックが赤く染まりますが、悪人を殺した場合は色が変わりません。悪の定義も本人の気の持ちようと相手次第なので悪と思っていない悪は悪にはならないようです。






今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!

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