第19話・聖剣パニッシャーとの契約

 師匠はアリシアの精神に宿っており、インベントリ内にマジックルームを造って実体化する事が可能である。今回、師匠はパニッシャーに宿る元近衛騎士団長を魂ごとアリシアの精神に紐付けしてインベントリ内のとある場所に転送した。


※ジルさんは魂の強度がエルダーゴブリンジェネラル戦で擦り切れてしまい、魂の強度が不十分な為、天に召される事となりました。


 ピカッ!“こ、これはなんと!?おのれ、貴様ァァァ!死んだのでは無かったのかエルダーゴブリンジェネラル!積年の恨みを晴らしてやるわ!”


《あー、待て待て。そいつとは何時でも闘わせてやるから今は我慢しろ》


‘ああ、貴様は……昔、我に痛烈な一撃を加えた数少ない人間の一人ではないか!あの時は我がナイト達に阻まれ敗退し、我に敵わなかったが今ならばどうだ?今も我は強いぞ’


 結果、転送する場所を間違えて宿敵同士が時を超えて再びまみえて煽りあいから戦闘に発展してしまう。


《コラコラ!お前も調子に乗るな馬鹿者が!》


(えっと……パニッシャーはどうなるんですかね?)


《申し訳ない。宿敵と再びまみえて少々取り乱した。パニッシャーは貴殿の所有物としてやって貰いたい》


(分かりましたー、師匠は今度ゆっくりと話をしましょうねー)


《あ、バレた。お前ら弟子と本契約するまで大人しくしてろって言っただろ!》


‘すみませぬ強者様’


“我も何やら知らぬが謝罪致す”


(あー、構いませんよー。後でゆっくりと師匠に説明して貰いますからー)


《アリシア……今はまだ、その時じゃないと思うよ?そのうち教えるから今回は許してほしい》


(はあ、分かりました…)


「ふむ、なんじゃろう。今の不思議な光は?え~と、そうじゃ。パニッシャーの封印は解けたのじゃが……このままでは鞘無しの危ない剣じゃし、鞘を造る準備から始めようかの」


 ゴートは先ほどの魔鉄をパニッシャーの形に合わせて整えていく。途中からはアリシアに魔力を込めさせて鞘にどんどん魔石を足していった。そして華麗さは無く、鈍器としても使えそうな武骨な鞘が出来上がり、パニッシャーを納めて調整した。


 アリシアはパニッシャー鞘を造ってみたものの、見た目はちょっとしたフレイルのような鈍器のような物となった。


「ふむ、まずまずじゃな。先ずは形のみの鞘が出来たわい。次は少しアリシアちゃんの血を貰うぞい。パニッシャーをアリシアちゃん専用の剣にしてやろう」


 ゴートはアリシアの指先から数滴の血液を鞘に垂らして貰うと、鞘の表面に鮮やかな紺の模様が浮き出てきて少し先程よりもほっそりとした鞘が出来上がる。


 そして、パニッシャーはゴートが抜こうとしても全く抜けなくなり、アリシアが鞘から引き抜くと煌めくような明るさの光を放つ刀身が姿を現す。


「うわー、何か凄いですねー」


《うむ、元々が聖剣の類ならば鞘を与えれば光っても見えるだろうな》


「ふむ、これでアリシアちゃんとパニッシャーが認めた者でしかパニッシャーは使えんのじゃ!では、パニッシャーの手入れ方法じゃが、簡単な話が悪を宿したモノを斬れば斬るだけ強く鋭くなるんじゃよ。この鞘が悪を宿したモンスターやモノの穢れや血を吸い取り、聖剣となったパニッシャーをどんどん強化してくれるんじゃ!これで簡単なようじゃが作業終了、その剣をアイテムボックスにしまった状態でパニッシャーと喚んでみるんじゃ」


 アリシアは言われた通りにパニッシャーをアイテムボックスに仕舞うと、直ぐにパニッシャーを喚んでみました。


「パニッシャー!」


『うん?貴殿は我の新しい主か?』


「あなたはだれ?」


『我の銘はパニッシャー……全ての悪を裁く者だった』


「それじゃあ、今から私の力になってくれますか?」


『うむ、良かろう……聖なる心を持ちし者よ、エルダーゴブリンジェネラルに使われし時には我も流石に情けなかった。今後、我は汝の剣となり、この鞘が有る限り汝と我の認めし者しか我を扱う事は許さぬ。全ての悪を裁くと我に誓い契約とせよ』


《なんか偉そうな剣だな……俺の装備を思い出すよ》


「分かったよ!それじゃ宜しくねパニッシャー!」


『うむ、我は常に汝の心と繋がっている。力が必要な時は我が銘を唱えよ!』


【アリシアは聖剣パニッシャーと契約しました】


「ふむふむ、アリシアちゃんは神の加護を宿しておるのかね?恐らく何処かの女神の声だの。きちんと神の加護付きで契約は成立したみたいじゃな。それでは、普通の鍛治も見せてやろう!ルーム!」


 ゴートが【ルーム】と唱えると作業台は何も無い部屋に拡がり、一瞬で高熱の炉を出し、鍛治道具が並びました。これも魔道具のようです。


「なんですかこれ!?」


「ほっほっほ、アリシアちゃんは鑑定スキルに魔法を使うじゃろ?この魔道具をじっくりと鑑定して見るんじゃ」


《こりゃ……また厄介な物を……》


「ふむふむ……これは……えーと、アイテムボックス内に部屋を造る技術でしょうか?」


「そうじゃ、今、ワシらの時間は外の世界の数十分の1程度のスピードで流れておる。これが、この魔道具の肝じゃな。多少は時間を流さにゃ空気や熱の動きが出来ん。アリシアちゃんもじっくり鑑定していてくれ」







今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!


 

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