第82話・村人との再開

 アリシアは案内の新米兵士ケビンに着いて療養所に入る。中には10日ほど前に別れたまま会えなくなっていた村の仲間達が顔を出す。一部、自警団のメンバーが減っていたがエルダーゴブリンジェネラルに食べられてしまったらしい。アリシアは悔しい気持ちを押し殺して仲間との再開を喜んだ。


「みんな!大丈夫ですか?」


「アリシア!?」


「パスカル兄さん!」


「おう!アリシアじゃないか!大丈夫だったかい?」


「オルソン兄さん!」


「あらあらアリシアちゃん久しぶり?アリシアちゃんも大丈夫だったかしら?私に顔を見せて」


「エルさん!」


「アリシア、無事でしたか……危ない事はしないように言っていたでしょう?」


「アニス院長〜!」


「アリシアちゃ〜ん!」「アーちゃん!」「シアちゃん!」


「みんな〜!」


「おうおう、アリシアちゃんや元気じゃったかい?……じいじは心配したぞ〜。よ〜く儂に顔を見せとくれ」


「お爺ちゃん!みんな生きてる!良かった。良かったよーー、ガルムお爺ちゃ〜ん!うわ〜ん!」


「ホッホッホ、儂が可愛いアリシアを残して死ねんわい!よしよし、泣くな泣くな、今まで良く頑張ってくれたの〜アリシアちゃん」


《うむ、皆生きておったか……良かったなアリシア》


(はい、師匠〜)


 アリシアは腕を広げて待つ長老のガルムの胸に泣きながら飛び込んだ。村の皆がアリシアを囲んでハグし頭を撫でる。アリシアは涙を流して再開を喜んだ。こうして、名もない村の盗賊襲来からゴブリンジェネラルの討伐までの激動の日々が幕を下ろした。


 これでアリシア達に平穏が訪れる……のだろうか?


村人との再開直後……


「魔法使い殿〜!魔法使い殿はおられるか?」


「はい、ここに居ますよー」


「おお、魔法使い殿。エルダーゴブリンジェネラル討伐お疲れ様です!お疲れのところ申し訳ないのですが明日の式典に今回の功労者として参加願えませんか?」


 アリシアに平和が訪れたと思った瞬間、暗雲が立ち込める事となる。今やアリシアはエルダーゴブリンジェネラルの討伐者でありエレノの英雄である。ゴブリン討伐の最大の功績者として領主から翌日の式典への参加を要請される。


《あー、こりゃ嫌な予感しかせんな》

(ですね。どうしましょう?)


「すいません。私あんまり目立ちたくないんですが……」

「いやー、しかし今回一番の功労者ですし、冒険者の方々は全員参加ですので……」

「おう!アリシア嬢ちゃんどうしたー?」

「あ、アイオスおじさん」


(ぐはっ、俺は二十五歳なんだよアリシアちゃん……)


《アリシア、相手は新種のオーガみたいな見た目だが確か二十代だったはず。少しはさっしてお兄さんと呼んでやるが良い》

(あ、そうですね)


「アイオスお兄さん、実は明日エルダーゴブリンジェネラルの討伐式典に呼ばれてまして……」


「おお、丁度よいところでアイオス殿にも出会えましたな。アイオス殿にも式典に参加願いたい」

「うん?ま、俺は式典参加は構わんがアリシアは何か困るのか?」


《アリシア、コヤツには正直に話してみよ》


「あの、アイオスお兄さん。実は私はあんまり目立ちたくないんですよー」

「はあ?それは今更じゃね?アリシアは魔法使いとしてエルダーゴブリンスレイヤーとして、既に町民にそこそこ名前が知れてっしなー。あとは凄腕の賞金稼ぎとか?知られてないのはもしかしたら聖女っぽいとか凄腕の薬師とかじゃね?ま、そこも冒険者と兵士には普通に知られてるが……」


《魔法使いはなんとか誤魔化せる……しかし、聖女に薬師はヤバい。なんとかせねばな》


「アイオスお兄ちゃん、魔法使いは仕方ないんですけど……下手に聖女とか薬師とか貴族とか教会に知られたら困るんですー。なんとかならないでしょうか?」


(お、俺がお兄ちゃん!?そうか、お兄ちゃんは可愛い妹分を助けてやらねばな!)


「そうか、その辺はアイオスお兄ちゃんに任せとけ!冒険者ギルドのターシャやら衛兵隊長にちょっと話をつけてきてやる!可愛い妹分に貴族やら教会の悪い虫が付いたら堪らんからな!このアイオスお兄ちゃんに任せろ!」


《チョロい……この新種のオーガはチョロすぎる》

 

 赤狼団襲撃からの名もない村からの避難及び、エルダーゴブリンジェネラル襲来からの討伐、すったもんだの十日と少しを過ごし、エルダーゴブリンジェネラルを討伐、ゴブリン達が貯めた莫大な財宝を手に入れエレノの町に帰還して仲間達と再会した翌日、アリシアはエレノの町の広場で現町長のデュヴァル・リュパン伯に表彰され、アリシアは一躍英雄としてエレノの名誉町民となっていた。








今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る