第42話・実働2日目で小金持ち

 朝食後に提供された昼食用サンドイッチは全粒粉のフランスパンに肉や野菜が挟んであり、アリシア一人では食べきれない位には大量に用意されているし、お代わりした焼きたてパンと濃厚シチューはコックのポンチョさんが数食分をまとめて用意してくれたので無属性魔法で容器のタッパーを作って魔法収納に収めた。


 ポンチョが張り切って作った具沢山サンドイッチを五人前、具沢山シチューめ五人前、焼きたての白パンは十個、全て残さずアリシアの魔法収納に消え、朝から賑わいを見せるポンチョの酒場兼食堂では、エレノの町を防衛中の冒険者や兵士達も交代で食事を食べに来ている。


 ポンチョの店ではリーズナブルな値段で美味しい料理を提供され、兵士達と冒険者が和気あいあい、わいわいがやがや食事を楽しむ。


 食堂内は常に賑やかだったが、どうやら本日はまだゴブリンは襲撃してきていないようだ。


 そして、エレノの町のエルダーゴブリンジェネラル率いるゴブリンの大群との防衛戦2日目が始まった。


 昨日のゴブリンジェネラル撤退後にゴブリンやゴブリンアーチャー達から剥ぎ取りを行い、矢を作るのに使えるゴブリンソードやアーチャーの弓矢を回収して再利用する事により、エレノの町の東門上の弓兵部隊には装備に少し余裕が出来ていた。


 ちなみに……ゴブリン達から剥ぎ取られた装備を素に鍛冶職人達は寝ずに弓矢を造り、今も各種装備を兵士達へと供給する為に頑張っている。


 薬師にして聖女のアリシアの存在も兵士達のモチベーションを上げるのに一役買っていた。


 ポンチョの食堂で楽しい食事を終えたアリシアは向かい側のエレノ冒険者ギルドに入り、本日も薬剤の素材を受け取る。


「アリシア様、おはようございます。本日も傷薬とポーションの生産からお願いいたします。エルダーゴブリンジェネラルが来襲しましたら、負傷した兵士の治療と攻撃魔法による遊撃をお願いいたします」


(うーん、冒険者って凄いかも、防衛してる人って鉄級ランク以上なんだよね)


※残念ですがアリシアの石級上位ランクはまだまだ初心者です。


 早速大量の傷薬とポーションを作成して晴れて鉄級下位ランクに昇格した。


「本日も傷薬とポーションの調合ありがとうございます。本日より負傷者の治療と攻撃魔法による遊撃任務をお願いいたします」(金儲け万歳♪)


「えーと、私は具体的に何をしたら?」(みんなの仇…)


「そうですね。現在、エルダーゴブリンジェネラルは町の東に一日程の距離に留まり狩りをしているようです」(ふむふむ、アリシアさんはやる気有りますね)


「はあ、こちらには未だ攻めては来ないのですね?」(えっと…)


「おそらく、ゴブリン達にも食事は必要なのでしょう。何を食べるのかは知りたく有りませんが」(うん、絶対に知りたくない)


「では、ゴブリン達の食事が終ればエレノの町に攻めてくると?」(モンスターの食事…)


「そうですね。ゴブリンが攻めて来た瞬間に1度だけで良いので出来るだけ強力な攻撃魔法を使って頂けますでしょうか?」(とりあえず、攻撃魔法を使って貰おうかしら?)


「はい、やってみます。町の近くですと炎や風は駄目ですよね?近くに森も有りますし」(森林火災とかは怖いです…)


「そうですね。東門前の木々が倒れますとゴブリンが攻めやすくなりますので他に使える属性は有りませんか?」(この子は何種類の魔法を使えるのかしら?)


 魔法使いによっては火、水、風、土、木、光、闇などを1系統だけ極めた者が多く、複数の属性魔法を使える魔法使いは希少である。しかしアリシアは現在ほぼ封印中ながら、さらに強力な爆発、炎、氷、石、嵐、地震、流星などの各上位属性戦術級魔法も全て使いこなせるので正しく天才と云える。


 アリシアはエルダーゴブリンジェネラル率いるゴブリンの大群に対する攻撃方法を暫し考えた。


(雷は木が燃えかねないし、土と氷では駄目だろうか?)


「あの、ロックジャベリンやアイスジャベリンはどうでしょうか?障害物にもなりますし、エレノの町の防衛がしやすくなりますよ」(うん、封印を解いて無属性のミーティアとかも不味いよね?)


《当たり前だ!東の森と町が消えるわ!》


「はあ、私あいにく魔法に詳しく有りませんので今回はロックジャベリンでお願いいたします。報酬は魔法一発で大金貨二枚、治療は大金貨三枚とさせていただきたいのですが?」(請求は攻撃が金貨二十ニ枚、治療が金貨三十三枚で請求しとこう♪)


「はあ、凄い金額ですね。昨日から大金貨五枚以上は稼いでいます。私、そんなに使い道は無いのですけど……」(どんどんお金が貯まっていく…名もない村の全世帯を含む村の年収の数十倍の金貨が手元に…アワアワ……)


「はい、それは魔法使いで聖女であらせられるアリシア様に対しての正当な報酬ですので、是非お受け取りください」(きっちり手数料は一割以上貰っていますから♪)


 ほんの二日で名もない村全体で稼げる数十年分の貨幣を魔法収納に収納したアリシアは別の意味で頭を抱えていた。







今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!

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