令和大学院生活之記録

@insei_kiroku

第1話 20210926

「大学院への進学は18歳人口の5.5%に留まっており、短期大学や2年制の専門学校を卒業した者では概ね20歳以上で就労し、一定の稼得能力がある者がいることを踏まえれば、こうした者とのバランスを考える必要があること等の理由から、このような取扱いをしているものです。」(文部科学省 高等教育の修学支援新制度に係る質問と回答(Q&A)A-4-9-1より引用 閲覧日:2021年9月27日)


 上記の引用は、少し前にネットニュースで話題にもなった、高等教育への修学支援に関するQ&Aの中で、「大学院生は支援の対象になりますか?」という質問への回答である。霞が関で働かれている官僚様や国会議員様のような頭脳明晰超人集団はこの回答で答えになっていると思っていらっしゃるそうだが、頭脳残念ウンチゴミクズな僕にはそのロジックが理解できなかった。ただ、その書きっぷりから非常に残念でゲンナリした気分になったとを記憶している。

 大学院生は5.5%しかいない。普段はまるでラオウとかバキみたいな教員博士学生集団に囲まれていて気づかないが、18歳以上になっても働かずに、毎日で液体を吸ったり吐いたり、苦悶の表情を浮かべながら英文を読み書きしたり、カタカナ語で小難しい話を嬉々として交わして、挙句言葉でボコボコにされて喜ぶような人間は、世間では相当マイノリティになるらしい。ちなみにこのような営みを研究という。

 こんな風に書いておいてなんだが僕自身研究に少なからぬやりがいを感じている。リアルワールドでもネット上でも大学院生の知り合いはいるが、皆なんだかんだ言いつつ研究が好きで、多様性を重んじる人が多く、聡明で、食事も平日はカップ麺や学食で済ませ、月イチくらいで外食する非常につつましやかな生き物である。決して研究費で私腹を肥やしたりとか、自分のことを賢いとおごり高ぶっているということはない。

 あまり世間の皆様が大学院生に親しみがない、それこそ5.5%しかいないのは、その生き方が知られていなさすぎるせいではないだろうか。ドラマや小説の題材になることも少ない。多分かなり地味な作業だからだと思う。進捗は概して少なく、黙々と作業をし、非常に淡々と日々を終える。

 そこでこの「令和大学院生活之記録」では、大学院生の生活をエッセイやノンフィクションっぽく記録してみることにする。カクヨムでやることで、少しでも普段と異なるターゲット層に大学院生の生活が届けばいいなと思う。

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