物干し竿から伝説へ

@tenthuku

第1話 

僕には夢がある!この世界で一番強い剣士になる!今日で10歳になった僕はそこらへんの大人より強いし勇敢だ!


最近は、異世界から転生?してきたらしい超強い奴が国中を沸かせてこの村にも噂が広がってる。

なんでも身長が3mあって、叫び声でワイバーンが泡を吹く怪物らしい…かっこいい!

僕も沢山特訓して怪物さんみたいに強くなりたい!!

だから今日も家のお手伝いのついでに物干し竿を振るんだ!


僕が住んでる村は大きな国の近くの小さな村、みんな仲良く暮らしてる。

でも最近は魔物が多か出てきて困ってるから、僕は村を守るために薪を取りに行きがてら見回りをするんだ!

お父さんからは危ないから森の奥には行くなって言われてる…だからこっそり行くんだ!


いつものように木に印をつけて進んでいく。

木漏れ日が綺麗で気持ちがいい、見慣れた自然に美味しい木の実もたくさんある。

「あ!あの木の実美味しいんだよなぁ…

ひとつもらっちゃおっと、、んーー、甘い!」

甘く熟した果実に夢中になっていると、近く茂みが激しく揺れる

慌てて音のする方に声をかける

「だれ…?だれかいるの?」

返事はない…

茂みの揺れはどんどん大きくなり、低い唸り声が聞こえる。

ガルルル…

声の主は茂みからゆっくりと姿を表す。

鋭い爪に牙、この辺りで見たことのない大きな魔獣

「うぁ…」

怖くて声が出ない…立てない…

魔獣がゆっくりと近づいてくる。

そうだ、図鑑で見たことがある…グルータイガー…大きくて強そうって思っていた魔獣が目の前にいる…

「そ、そうだ…僕は剣士なんだ、戦わなくちゃ…」

恐怖で震えて物干し竿がうまく握れない、

グルータイガーが一直線に迫る

逃げなきゃ…怖いよ…!

戦わなくちゃ…!

勇気を振り絞り目の前の敵を見る、初めてみる大型の魔獣、恐怖が心を覆う…

「ひっ…!ダメだ、逃げちゃダメ、せめて…!」

一歩踏み出し勇気を振り絞り、物干し竿を力一杯振り下ろす!

ゴンっ!

「当たった!」

グルータイガーは一瞬よろけた、しかし勢いは殺せずグルータイガーの爪が顔に食い込む…!その瞬間、誰かがグルータイガーの爪を掴む。

「見ていたよ、少年!いい棒捌きだ!」

そう言い終わる前にひょいっとグルータイガーを吹き飛ばす。

何が起こったか分からず、怯えるようにグルータイガーは逃げていった。

「大丈夫か少年?」

凛とした黒髪に切長の目のとても綺麗なお姉さんが視界に入り、気を失った。



 

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