成長

お題：近いわずらい 制限時間：15分

成長

　幼稚園の頃、女の子と男の子は同じ布団で眠ってた。

　小学校の頃、ボクが一緒に遊ぶのはほとんど女の子だった。男の子と遊んでも、ぬいぐるみで物語を作ったり、ままごとしたりと、乙女めいてた。

　中学校の頃、ボクが遊ばれるのは女の子だった。しかもぱんつ脱がしというのが流行ってて、男子たちの視線を必然的に浴びることになった。ブルマを履こうが短パンを履こうが、全部脱がされた。

　水着に着替えるのも女の子と男の子は同じ教室だった。

　高校の頃、異性を意識した。女子生徒は男子生徒の視線を気にせず教室で着替えてた。男子生徒は、どうしてだかトイレで着替えたり、隠れられる廊下の柱でしたりしてた。

　ボクはといえば、教室で着替えてた。なんどか女子生徒に不審に思われたが、ボクも女子生徒なのだ。本当だよ？　見た目がボーイッシュなせいもあってか、女の子に思われないことがよくあるがなぜ理解されないんだろうか。

　女子用の制服を着てるのに、それっぽい格好をしてるのに、誰もが疑問視する。

　よくわからない。

　煩わしさでいっぱいだった。

　はじめて告白されたのも、女の子だった。ボクを女の子だと知ってても、交際を申し込んでるらしい。ボクはノーマルで男の子が好きなのだ。だから断ろうとして、女の子の目を見たらもうだめだった。

　人に泣かれるのは何をしてても辛い。そのため、付き合うことになった。彼女はとてもべったりしてきた。修学旅行で同じ班のとき、襲われそうになった。同じ布団に入ってきて、いろんなところを触られた。それが不快とならなかったのは、若干感じてしまってたからかもしれない。

　周りに他の生徒がいるということもあり、それ以上の侵食はなかったけれど……もし誰もいなかったどうなっただろうか。

　同じトイレの個室に入ろうとする神経は今でも理解できない。

　今は大学生として通ってる。

　ここまでくると、もはや男、女というのはほぼ関係なくなった。専用のフロアがあったり、トイレが別なのは当たり前だが、それくらいしかない。

　ようやく煩わしさがなくなったというのに、就職すればまた同じことが始まる。

　それが人生なのだと思うと、とても不満でいっぱいだ。