前日の運動

 みなさんは健康診断前日に運動を頑張りすぎると、悪い結果が出ることもある、ということをご存じでしょうか?異常値がでても、前日の運動しすぎのせいでした、という結果の方が意外とみえるのです。

 コロナ禍でジムクラスターが怖くてジムを解約してしまい、最近運動できていない私からすると、とても健康的な生活をしている方々なのに、前日ちょっと頑張りすぎただけでこんな結果になるのは心苦しいので注意事項をまとめてみました。



 健康診断前日に激しい運動(筋肉痛になるような運動。筋肉をよく動かすような運動。水泳、テニス、マラソン、筋トレなど)をすると、なんと肝機能や尿酸値が上昇したり、蛋白尿がでて異常値として指摘されてしまうことがあるのです。


 筋肉は壊れて修復されることで育つ、ということを聞いたことはありますでしょうか。筋肉を動かすと筋肉繊維が壊れるのですが、その時にいろいろなものが漏れ出てしまいます。肝機能でよく計測されるASTやCK(CPKともよばれる)というものや、尿酸の材料になるプリン体が漏れ出てしまうのです。

 ASTやCPKが高いと、通常これらの大半は肝臓由来なので、健康診断では肝機能障害と分類されてしまいます。いきなり肝機能障害と記載されてしまうとびっくりしますよね。採血で計測しただけでは、肝臓からなのか、筋肉からなのか、どちらが原因で上昇したのかわからないのです。運動によるASTやCPKの上昇は一時的なものなので、激しい運動は少なくとも前日は避けましょう。

 また尿酸値はとくに激しい運動に脱水も加わると上昇しやすいです。健康診断当日は朝からほとんど水分摂取もしないので、さらに上昇しやすくなります。

 最近は朝活がはやりなので、朝、食事前にジョギングやウォーキングをする習慣のある方の多くは、いつも通りに健康診断当日の朝も運動してからみえます。そうすると余計に上昇しやすいので注意が必要です。先日もCKがかなり高くて再検査になっている方がみえました。健康のための運動なのに、再検査なんて心外な結果ですよね。当日の朝も運動は控えてください。



 もし、激しい運動をしてしまい、異常値として引っ掛かってしまったらどうしましょうか?後日、数日間運動を控えて、しっかりと水分を摂取してから採血を受けなおしてみてください。きっと正常に戻っています。

 ただし、中には本当に病気だった方もいるので、自分で運動のせいだと決めつけず、後日の再検査は面倒だと思いますが、必ず受診してくださいね。


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