異世界転生録～死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます！！～

第2話 神様との邂逅

「ん…さん…達哉さん」

誰かに呼ばれる声がして俺は意識を戻した。

すると、目の前には何もない真っ白な空間が広がっていた。

「目が覚めましたか。気分はどうですか？」

その声はとても透き通っていて今まで聞いた中で最も美しい声だった。

「あなたは…神様ですか…？」

俺は恐る恐る尋ねた。

「ええ。」

「…俺はこれからどうなりますか？」

異世界転生する可能性への期待と何も起こらずただ無に帰る可能性への恐怖を胸に尋ねた。

「本来であればただ無に帰るだけなのですが…あなたは亡くなるときに強い願いをもっていたため魂が私の領域に残ってしまいました。あなたのような魂を鎮魂するのは大変惜しいのです。そこで、異世界に転生してみませんか？」

この時、俺の胸はかつてないほどに昂ったのだが、実はホラー世界だったなどというオチを回避するために冷静に尋ねた。

「いくつか質問しても良いでしょうか？」

「ええ。どうぞ。」

ここでの質問は異世界転生後に大きく左右するだろう…そう感じた。

「そこはどのような世界ですか？」

「あなた方の世界で言うところのアニメや漫画の世界ですね。あなたが恐れているような世界ではなく、まさにあなたが期待しているような世界です。」

そう言って神様は微笑んだ。俺の思考は読まれていたのか…少し恥ずかしくなった。

「わかりました。では、出自を指定することはできますか？」

生まれた環境によっては即死してしまったり、人生を謳歌できなくなるかもしれないからだ。

「いくつか候補はありますが指定することはできません。どのような出自をご希望で？」

「家族仲がいい辺境貴族の三男以降を希望します。」

俺は領主ではなく冒険者として世界中を旅して悠々自適に暮らしたいのだ。

「分かりました。探してくるのでちょっと待っていてくださいね。」

そう言って姿を消した。数分後

「アイザック家の三男がありますね。詳細を見ますか？」

「お願いします。」

そう言うと突然目の前にスクリーンのようなものが現れた。

そこには自然に囲まれ、庭で家族団らんをしている様子が映った。

俺の理想ぴったりだった。

「ここでお願いします！」

「わかりました。」

神様は微笑みながらそう答えた。

「最後に、いわゆるチートのようなものはいただけますか？」

「そうですね…10個までなら聞きましょう。」

「ありがとうございます。では…」

俺が10個の願いを言い終えると、だんだん意識が遠のいていった。

「それでは、良い異世界転生ライフをお過ごしください。」