第134話 冒険者学校 卒業試験 実技②
「…次、クレア!!」
「行ってくる。」
「頑張れよ!!」
「おう!!」
クレアも前の2人同様、闘技場に上がると赤いオーラを纏った。
“鑑定“によると、TP消費は8,000のようだ。
「それでは両者武器を構えて…試合開始!!」
「おらぁぁぁ!!」
開始と同時に、クレアが両手剣Lv6“ジェットインパクト“をアシスト外軌道で行使した。
軌道は左下から右上への斬り上げである。
『なっ…!!あれはスキルチェインか!?』
アランが両手剣Lv.5“インパクト“で攻撃を相殺したとき、クレアは既に両手剣Lv.3“アークスクエア“の構えを取っていた。
すると、アランも“アークスクエア“にスキルチェインして攻撃を相殺した。
『…スキルチェインは俺の専売特許じゃなくなったな。』
それにしても非常に高度な戦いだ。
アランがソードスキルを行使したらクレアが同じソードスキルを行使して相殺し、逆もまた然り…
『…このままだとスタミナ戦になるな。』
そう思った矢先、クレアが行動を起こした。
今まで身体に纏っていたTPの一部を両手剣に移し、“武器強化“を施したのだ。
『…やっぱり“武器強化“も習得してたか。』
クレアは頑丈になった両手剣で両手剣Lv.1“スラッシュ“を行使した。
アランはそれを“スラッシュ“で相殺したが、武器の性能差で刃が欠けた。
「ちっ…なら俺も!!」
アランは1度距離を取ると、クレアと同様TPを剣に流し込んで両手剣に”武器強化”を施した。
相当量流し込んだようで、アランの両手剣は赤いオーラを纏っている。
「行くぞぉぉぉぉ!!!」
アランは雄叫びを上げると、両手剣Lv.6”ジェットスマッシュ”を行使した。
クレアはその場で両手剣Lv.8”グランドハザード”を行使する体勢を取っている。
『初撃で”ジェットスマッシュ”を相殺して、残る5連撃で仕留める算段か。』
「おらぁぁぁぁ!!!!!!」
両者とも高速で前進し、刃を交えた。
金属が叩きつけられ、ピリピリと痺れる轟音が闘技場全体に響いた。
「くっ…」
両者の力は拮抗していたが、武器の性能差が顕著に表れた。
赤いオーラを纏ったアランの両手剣が、クレアの両手剣にヒビを入れ始めたのだ。
クレアもそれを把握し、すぐさま残る5連撃に移行しようとしたが手遅れだった。
ヒビは瞬く間に広がっていき、両手剣を粉砕したのだ。
クレアは剣を失いはしたが、闘争心は失わなかった。
「ちっ…おらぁぁぁ!!!」
すぐに剣の柄を捨て、体術に切り替えたのだ。
だが、クレアの1撃が届くことはなかった。
アランは既に体術で攻めてくることを予測して”スラッシュ”の体勢を取っていたのだ。
クレアの拳は両手剣でパリィされ、体勢が崩れたところを”スラッシュ”で両断した。
「そこまで!!」
『惜しかったな…けど、流石クレアだった。やっぱり最後まで諦めなかったな。』
寮の庭で手合わせをしたときは、軽くだったので成長度合いの詳細は分からなかった。
だが、予想以上に強くなっていたようだ。
「はぁ…はぁ…次はアイリスだが…少し待て。武器を変えつつ休憩する。」
「分かりました。」
流石にアランでもイザベルとスー、クレアの連戦は堪えるものがあったらしい。
旅に出る前は5人とも軽くあしらわれていたことを考えると、本当に強くなった。
「ふぅ…よし、準備できたぞ。」
「はい。」
「頑張れよ!!」
「はい!!私の成長をその目でよく見ていてください!!」
ピりついた雰囲気を纏いながら、アイリスは青いオーラを纏い始めた。
消費TPは12,000…かなり”闘気操術”を使いこなしているようだ。
さらに短剣での戦い方をだいぶ変えたようで、トレーニング着の上にローブを纏っている。
おそらく大量に持っている投擲用の短剣を隠すためだろう。
「それでは両者武器を構えて…試合開始!!」
「やぁぁぁ!!!!」
開始と同時に、アイリスは5本の短剣を投擲した。
正確な狙いで、それぞれ首と四肢だ。
『これは…なかなか厄介だな。回避せざるを得ない。』
両手剣だけで防げないことを悟ったアランは右へ跳躍して回避した。
すると、回避の先には短剣を構えたアイリスが待っていた。
『…なっ!!』
おそらく短剣を投げ、視線を誘導しているうちに短剣と同等以上の速さで移動したのだろう。
広い視野を持たずに戦っていたら、これでやられていた。
「やぁぁぁ!!」
アイリスは回避してきたところへ、短剣Lv.4”ジェネシスバイト”を行使した。
その7連撃は非常に素早く、アランは防御することができなかった。
「くっ…!!おらぁぁ!!」
アランは両手剣で防げないことを瞬時に把握したようで、”武器強化”に使っていたTPを身体に戻して防御力を上げていた。
7連撃を身体で受けつつ、カウンターに”スラッシュ”を行使した。
しかし、渾身の”スラッシュ”は空を斬った。
先程まで攻撃していたはずのアイリスが消えたのだ。
『なっ…!!あれは…ソードスキルの強制停止か!!』
アイリスは”ジェネシスバイト”の7連撃を途中で停止し、短剣Lv.5”ジェットファング”にスキルチェインした。
”ジェットファング”のアシスト軌道で完全にアランの背後を取り、下段から斬り上げた。
「ぐっ…!?」
だがその斬り上げがアランに当たることはなく、逆にアイリスが攻撃を受けた。
アランは背後を取られたと同時に両手剣を手放し、体術Lv.4”上弦蹴り”を行使していたのだ。
そしてアイリスを吹き飛ばしてすぐに両手剣を拾い、両手剣Lv.9”ノヴァディザスター”で斬撃を放った。
無防備だったアイリスはそれを防ぐことができず、斬撃に切り裂かれた。
「そこまで!!」
『…まじか。あそこで剣を捨てて体術に切り替える判断は流石としか言いようがないな…』
てっきり俺はアイリスが速度で翻弄して攻撃を重ね、アランを倒しきれるのではないかと考えていた。
だが、アランの方が1枚上手だったようだ。
「はぁ…はぁ…」
「アラン、これを飲め。HPと疲れを取ってくれる。」
”アイテムボックス”から回復薬を取り出し、アランに投げた。
「助かった。じゃあ…やるか!!」
「ああ!!」
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