第121話 古代文明都市 地下9階

「…始めたのが昼過ぎでしたが、収納作業してたら夕方になっちゃいましたね。」




「うむ…今日はここで野宿して、明日の朝出発するのじゃ。」




「分かりました。」




最後に地下7階に上がって広い空間で訓練をし、夕食をとって眠りについた。




翌朝




「最下層まであと2階なのじゃな。」




「そうですね…あっという間でした。」




地図の説明によると、地下9階は機械生命体の開発施設らしい。


となれば、間違いなく機械生命体が監視や守備をしているだろう。




“探知“を駆使し、警戒しつつ通路を下りていった。




進むこと数十分




「…っ!?これは…」




「どうしたのじゃ?」




「地下9階内の敵の反応が等間隔に、しかも宙に浮いているんです。」




「む…まさか新しい種類の敵が妾達を待ち伏せておるのじゃ?」




「詳細はよく分かりません…」




「ふむ…」




俺の偏見だが、ファンタジーやSFの開発施設といえば謎の液体内にいるホムンクルスだ。


この施設ではホムンクルスではなく機械生命体だが…




『もし俺の偏見が正しかったら、宙に浮いてるのも納得がいくな。』




とはいえ事実はこの目で確かめるまでは分からない。


師範と予測を立てながら歩んでいった。




「…っと、止まってください。」




「どうしたんじゃ?」




「扉を挟むように2体の大型が待機してますね。」




「ふむ…螺旋状になっておるから視認できないのじゃ。」




「ここは俺に任せてください。」




「頼んだのじゃ。」




“機械探知“に映っている姿は二足歩行で逞しい身体に牛の頭…


そう、ミノタウロス型の機械生命体だ。




ミノタウロスは非常な力が強いため、力比べには持ち込みたくない。


その上戦闘場所は狭く回避をしづらい通路…




『得物は…力を最大限に発揮できるハルバードか。近接戦は厄介だな…』




そうと決まれば、両手剣Lv.9“ノヴァディザスター“の遠距離攻撃で仕留めるのみ。




あの半月の間でスキルLvが上がっただけでなく、“闘気操術“の熟練度も上がりTP消費9,000で動けるようになった。


早速“闘気操術“をTP消費9,000で行使して身体能力を上げ、破壊の両手剣を構えた。




「すぅぅぅぅ…はぁぁぁぁ!!!」




勢いよく螺旋状の通路を下り、ミノタウロス型を視認するや否や“ノヴァディザスター“で斬撃を放った。




「ピピピ…侵入者を発見。迎撃し…」




「ピピピ…侵入者を発見。迎撃します。」




『…ちっ、1体仕留め損なったか。』




手前にいた方は斬撃で両断することができた。


しかし、奥にいた方は手前の死体を盾にして攻撃を防ぎ切った。




『…っ!!おいおい嘘だろ…!?』




目が赤く光りだした。


嫌な予感がするので、両手剣を前に構えて防御の姿勢を取った。




『くっ…!!まじかよ…』




次の瞬間、目からレーザーが飛び出した。


破壊の両手剣は想像以上に強度があり、なんとか防ぐことができた。


だが、このまま放ち続けられたらジリ貧だ。




『なんとか隙を突かないと…』




防ぎつつ相手の様子を窺っていると、目の周辺が赤みを帯びていくのが見えた。


おそらくレーザーの熱で機械がオーバーヒートしているのだろう。




「ピピピ…過剰な熱反応を確認。冷却し…」




『今だ!!』




俺は闘気を足に集中させて最高速度でミノタウロス型の懐に入り込んだ。


そして両手剣Lv.7“ジェノスストリーム“を行使し、7連撃で斬りかかった。




『これで…終わりだ!!』




1、2撃目で相手の両腕を斬り落とし、4撃で硬い大胸筋を斬り開き、7撃目で心臓部を八つ裂きにした。




「ふぅ…師範、終わりました。」




「うむ!あの光線はびっくりしたのじゃ。」




「ですね。この剣が壊れるかと思いましたよ…」




“機械特攻“のお陰か分からないが、レーザーを防いだ箇所は少し黒く変色しただけで済んだ。




「こいつらは門番だっ…!?」




扉からガタンッ!!と何かが外れたような音がして振り返ると、扉が開いていた。




「ふむ…勝手に開いたのじゃ。」




「この2体を倒すと開くシステムだったみたいですね。早速入りましょう。」




「うむ。」




『これは…』




そこには緑色の溶液に漬けられた様々な不完全の機械生命体がいた。


全くもって偏見通りで、何とも言い難い。




「…こやつら今にも動き出しそうじゃな。」




「ちょっと不気味ですね…」




「…うむ。全員仕留めておくのじゃ。」




「そうですね。」




「ついでにこの保存液を収納しておくのじゃ!!」




「分かりました。」




それから師範が一突きでガラスの中にある機械生命体を倒し、俺が溢れ出た保存液を“アイテムボックス“に収納していった。


保存液の入ったカプセルは200個近くあり、大変な作業だった。




「ふぅ…終わったのじゃ。」




保存液が帯びていた緑色の発光が無くなったため、よりいっそう暗くなって不気味だ。


作業の途中から暗くて手元が見えなかったので、ヒカリゴケを使って対処した。




「この階の探索を始めるのじゃ!!なかなか広いから手分けするのじゃよ。」




「了解です!!じゃあ俺は向こうを見てきますね!!」




さて…開発施設にはどんなお宝が眠っているのだろうか。

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