鬱病闘病記
綾瀬 仁菜
プロローグ
第1話 診断がついた日
「…あなたはうつ病です。」
そう診断された瞬間、不謹慎だが私はホッとしていた。そうではないかと薄々感じてはいたのだ。
自分の身に差し迫る警告を聞こえぬふりをして過ごしてきた結果といえば当たり前のようにも思えた。
「今のあなたの状態ですと、業務をこなすのは難しいかと思われますので…」
医師が診断書を書くので取り敢えずはいついつまで休むと会社に連絡する旨と、次の受診日を伝えられて診察は終わった。
メンタルクリニックや精神科と言うと、何だか敷居が高く感じるうえに薬漬けやら意味が無いやら色んな情報が飛び交っていて正直怖かった。
しかし私が選んだクリニックはとても…良心的だと思う。
比較対象が無いので私の主観でしかないのだが、医師は話をよく聞いて必要最低限の投薬をしてくれているし、私にちゃんと向き合ってくれている。
…この話は後々詳しく語りましょう。
診察のお会計と薬の受け取りを済ませて帰路に着く。
8月が終わったと言えども季節はまだ夏を思わせる青空。
ジワジワと照りつける太陽を鬱陶しく感じる暑さだが、心は幾分か晴れやかだった。
「少しは、救われた気がする」
それが当時の私の率直な感想だった。
安心するにはまだ早いけれど…
この日、私は初めて…自分の事を守るために逃げ切ることができたのだ。
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