第4話 臭いカースト

「パパくさい!」


自分の娘にこう言われる。

漫画などではおなじみのシーンである。

私にいるのは息子だけで、残念ながら娘はできなかった。

しかし自分の子に臭いと言われて邪険に扱われることはない、それだけは良かった。と、そう思い込んでいた。


なのに、だ。

「父さんくさい」

と、男の子であろうと子供にはそう言われてしまうのだと、ショックを受けた。


そんな息子も中学生に入った途端に

「獣臭がする」

と妻に言われるようになる。

ほらみろ、同じ血筋だからお前も私と同じ匂いになるのだよ、とその時はほくそ笑んだ。


しかし獣臭のするその息子よりも、まだまだ私の方が臭いらしい。

息子にも邪険に扱われてしまう。

これでは百獣の王ライオンではなく、獣臭の王である。

こうして私はまだ家庭内で、臭いカーストの頂点に君臨している。


…底辺ではない。

けっして。

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