名のない人々 著:testtest

 掌編(短編?)なので、暇つぶしにどうぞ




 さて、いつもの前座から。

 『一話完結。どこから読んでもいいよ!』

 この売り文句が使われた作品は結構あるが、本当に『どこから読んでも大丈夫』である作品は少ない。

 少なくともこの企画で読んだ作品は最初から読んだ方が間違いなく良いという作品の方が多かった。


 けれど、本作は違う。

 本当に一話完結。

 となると難しいのが順番である。

 私自身も短編集というものを書いたことがあり、その際に最も迷ったのが作品の順番。

 どう考えたって、最初の方が視聴数は多くなる。当たり前だ。

 『一話完結、どこから読んでもいいよ』

 『タイトルで気になった奴から読んでね』

 なんて、優しい言葉を多くしてもそんなもの読む人の方が少ない。タイトルを全部読む前に普通に最初から読む人の方が明らかに多いだろう。


 ということは、一話目に置く作品は『目を引く、印象に残る短編』となるわけだがこれが難しい。

 どういったものが受けるのかというのをきちんと理解するのは非常に難易度が高いし、そもそもあまりにも好みの話過ぎて、結局正解は出ない。

 

 もちろん『大衆受けしそう』だとか『流行っている』だとかより良い一話を求める指標はいくつもある。

 けれど、それらどれも、突き詰めたところで好みの範囲を抜けない。

 これは非常に難しい問題である。 

 


 私はこの問題の解決を諦め、最も評価の高かったものを一話に置く、といった方法を取ったが、本作では解決策として並び順を定期的にランダムにするという方法がとられているらしい。

 これは素晴らしい。

 

 全く関係ないが『カクヨムって並び順変えるの面倒ですよね?』と質問を投げかけておこう。最新話を最初の方へ持ってくる時なんて有り得ないほどクリックする必要がある。

 早急にドラッグに対応してほしいものだ。



 さて、ここまで語ってきたがそろそろ本題に入ろう。

 といっても短編集。

 作品を総括した感想を書くわけにはいかない。

 というわけで読んだ中で一番好きだったストーリーについて語るとしよう。


 タイトルは『人質』。

 簡単に言えば『老人が強盗する話』だ。

 まあ、この感想欄は主に作者のためだかあら、わざわざ作品の概要を説明する必要はないのだが。


 総文字数は『1828』。

 一般的な長編の一話に相当するか、それより短いか、くらいだろう。

 短編として考えるなら異常なほど短い。

 なんせカクヨムの短編は『2万』まで文字を浪費することを許されている。2千文字なんてその1/10だ。

 もちろんこの文字数では何か置きなことは出来ない。

 日常の一瞬を切り取るだとか、何か不思議な世界について説明するだとか、そんなもんだ。

 『人質』は前者。

 日常の一ページを切り取ったものだ。


 では、どこが私の琴線に引っかかったのか。

 おそらく非日常と日常のバランスの良さだ。

 先ほどから言っている通り、本作で扱っている題材は『強盗』。まあ議論の余地なく非日常だろう。これが日常になっている奴はさっさと警察のお世話になってくれ。

 

 しかし、店員と老人の会話は日常の域を出ない。

 それが『あまりにも冷静な店員』によるものなのか『如何せんやる気のない老人』のお陰なのかは分からないが、コンビニ内には穏やかな雰囲気が漂っていた。


 これがいい。

 相容れない二つの要素が確かに共存している。

 それでいて違和感がない。

 非常に良かった。

 

 それでは。


 作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16816700426633383705

 人質URL:https://kakuyomu.jp/works/16816700426633383705/episodes/16816700427494577795

 作者URL:https://kakuyomu.jp/users/testtest

 

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