(公益財団法人)異能者生活保護の会・青い鳥 著:北林 憂
果たして異能者は〝人でなし〟か?
さて、いつもの前座から。
今回のプロローグはニュース。
結構テクニカルな導入である。
レイアウトの自由が少ない中、どうやって、読者にニュースということを伝えるか。
本作では冒頭四行をうまく書くことによって、ニュースであることを明示している。
途中で挟まれる『写真を見る』も良い。
ネットニュース感をさらに増させることに成功しているし、見やすい。
ニュースを利用した作品はずっとニュース調であることも多く、こういった通常の文章を利用した作品で活躍することは珍しい。
非常に参考になる。
今度利用させていただこう。
さて、本題に入ろうか。
本作は『異能者』が疎まれている世界。
超絶人気作『僕のヒーローアカデミア』の逆バージョンみたいなものだ。
まあ、あちらは九割以上が異能者らしいが。
異能者があこがれの存在ではなく、疎まれる存在。
全く関係はないが、自作と少し似た感じを覚えた。
異能が出てくる作品ということで、いろいろ大事なことはある。
例えば、人間関係だとか、舞台設定だとか、デメリット管理だとか。
例に出した『僕のヒーローアカデミア』は舞台設定や人間関係が秀逸だったし、『デスノート』はその性質が最も重要であったように思う。
ただ、私はこういった異能モノにおいて一番大事なものは主人公の異能だと思っている。
あくまで私は、だが。
最近のweb小説界隈において、タイトルが主人公の能力のまんま説明であることも多く、(例えば『不遇職●●』だとか『レベルアップする――』だとか)それほど主人公が何をするかというのが凄まじく重視されているわけだ。
まあ、昨今人気の『異世界転生』も『悪役令嬢』も『なぜか超絶可愛い美少女が陰キャの自分を愛す系』も主人公にしか知りえない情報があるというのがその魅力の一端を担っている。
冷静に考えればそこまで難しい話でもない。
基本的に一人称視点、もしくは三人称一元視点が利用されるweb小説において主人公にウェイトがかかるのは必然。
それが特殊な出生であれば、憧れを抱くというのは理解しやすいだろう。
さて、長々と語ってきたが本作の能力は『無効化』。
まだ、本当に冒頭といった感じのためこの能力をどういった風に生かしていくのかというのは不明だが、かなり使いやすい能力を選択したなといった印象。
『無効化』能力を使ったもっとも有名な作品は『とあるシリーズ』だろうか。
偉大なる先駆者がいるというのはやり辛さもあるが、それ以上にメリットの方が大きい。
ぜひ、迷った時は参考にするとよいと思う。
と、ここまで本作の内容について語ってきたわけだが、本作の最も良い点は文章にある。
非常に読みやすく状況が理解しやすい文章で書かれており、特に一話が顕著であった。
一話を書いた時の感覚を忘れずに書いていけば非常に良いものに仕上がると思う。それほどまでに一話の文章は良かった。
こんなものだろうか。
それでは。
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