第36話 同じ頃、日本 その1
「ああ、そうですか……はい。すぐ向かいますので、宜しくお願いします」竹雄が電話を切ると同時に、種が寄って来た。
不安そうな顔で、種は父親の顔を見上げる。
「意識が無かって」
「でも、おばあちゃん、いつもやん。いっつも眠とっちゃけん」種は認めたくないと言わんばかりに父に食って掛かる。
「今回は違うらしか。おばあちゃん。昨日、目ば覚まさんやったけん、看護士さんがチェックしたら、血圧とか、心臓の動きとか、相当弱くなっとうらしい」
「そんな……」
「兎に角、病院に行こう。種、早う用意しい」
「お姉ちゃんは? 苗に連絡せんと」
「——いや、良か。苗には言わんで良い」
「は? 何で」
「知らせたっちゃ一緒やろう。直ぐに帰った所で間に合わん。それに——」
あいつは、あいつで頑張りよっちゃけんと父は言って、種に再度外出の支度をするよう促した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます