どこかの温室に毎日サンセベリアの鉢の様子を見にやってくる、無精髭とよれた白衣の「教授」。何やらその鉢に思い入れのある彼は、他の花や植物たちには目もくれず、そのサンセベリアだけを丁寧に手入れをして、三十分はそこで過ごして帰っていくと言います。
それを見つめるのは妖精リン。三年前に彼がその鉢を持ち込んだ時からずっと彼を見つめ、話しかけてもみるけれど、ずっとすげなくされてしまっています。それでも彼が気になって、毎日話しかけているのですが、今日は少し様子が違って——?
穏やかな温室の風景と、彼を見つめるリンの眼差しがとても純粋で、本人も気づいていないであろう淡い想いがなんとも甘酸っぱくも切ないのです。対する教授は冴えないけれど、彼もまた一途な想いを抱えていて、ふとその思い出に触れ、また彼の意外な表情に出会ったリンの心の動きがとても繊細に伝わってきます。
不思議でとても温かい、けれどやっぱり少し切ない恋のお話。おすすめです!!