敗者の語り×2
敗者 Sさんの語り
マリー、あなたという人はやり過ぎだと思います。
あれは、いけないと思います。
展望台で沢山泣いた直也さんはすっきりとした表情で帰っていきました。階段の陰にいた私たちにも気が付かずに、帰ってしまいました。
直也さんは「マリーさんありがとう、マリーさんありがとう」とマリーのことばっかりでした。
私だってずっと傍で見守っていたのに!
なんで、マリーの好感度が爆上がりして、私の好感度は変わらないの?
確か、私って運命のヒロインでしたよね?フォルトゥーナ様?
確か、私が直也さんを支えるんでしたよね?フォルトゥーナ様?
確か、私しかダメなんでしたよね?フォルトゥーナ様?
マリーが全部持っていった気がするんですけど?
マリーがメインヒロインになりそうな気がするんですけど?
直也さんが元気になるのは嬉しいけれど、これは私が思っていたのと、かなり違うんですけど!
大体、マリーの何あの緩急をつけたツンデレ、あんなん、見たことないわ!
最後の優しく諭すお姉さんキャラも、見たことないわ!
いつもマリーは力と技で考える強化系の人だったのに。
何で、引き出しが、増えてるのよ!
何でこんな大事な本番で大成功を収めているのよ!
それにマリー、あなたもしかして千年前のこと調べたの?歴史が嫌いなあなたが、何で
サラサラとサクラ・シラサキを語ることが出来たの?
すべては計画?
まさか!マリー、あなたもなの?
あなたも同じ舞台に立とうというの?
マリー、恐ろしい子。でも、私だってこのままでは終わらない。見てなさい!
私は何度でも直也に愛されてみせるわ!
あれ?なんか変な感じがするような、気のせいかな?
あっ、なんか指輪の輝きが、霞んでいるような気がする!
敗者 Iさんの語り
悔しい、やられた。まったくのノーマークだった。サクヤさえ押さえることが出来れば勝てると思っていたけれど、マリーとか言うメイドめ、何のそぶりも見せずに興味すら無いように装い、最高のタイミングでかっさらいやがった。
サクヤよりよっぽど、ヤバいヤツだ。
あの時やはり突入して制圧するべきだった。 マリーに任せてみましょう、との言葉に乗ってしまったのが間違いだった。
メイドの暴力娘に何ができるか?直也様のことを一番理解できているのは私だと、驕っていた結果がこれだ。
あのメイドの存在は直也様の心の深いところまで刻まれたことだろう。
だが、私はもっと深いところまで刻み込めているはずだ。
今回は後れを取ってしまったが、次はこうはいかない。必ず、私が決めてやる。もうその手段は考えている。
あれをやってしまえば、私の尊厳は地に落ち、今までの私の生き方をある意味否定することになりかねない。が、もうそんなことは言っていられない。
あの神社でシュークリームを貰って、直也様にお会いしてからもう千年。
私はひと時も忘れることなく直也様を思ってきた。私も直也様と幸せになりたい、今度こそ、直也様に私を選んでもらいたいと思う、一人の女子だ。
女の子だ!
やってやる。私はやってやるぞ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます