第7話 買い物
俺たちは多くのゴーレムをなぎ倒し、多額の報酬を得た。アレク達もそれなりに奮闘していたようだが、倒した数でいえば俺たちの比にならない。
そんな俺たちは酒場でステーキや飲み物、今まで見た事のないような豪華な食事を楽しんでいた。
「どれもこれも美味いなぁ!これとか肉汁がすげぇや」
「はい、とても美味しいですね。私はこちらのサラダがとても好みです」
俺とヨミヤはお互いに顔を合わせながら、目の前にある食事の感想を言い合った。
ある程度食べ終わりよみやと談笑していると、またアレクが近づいてきた。
「よぉ、どんなイカサマを使ったのかはわからねぇが、お前力を隠してたのか? それだけの力があるなら、また俺たちのパーティに入れてやってもいいぜ」
憎たらしい態度で俺にそう言ったが、俺はもう前のパーティに戻るつもりは無い。なぜならヨミヤといるこの雰囲気を俺は気に入っているのだ。
「悪い、俺は彼女とパーティを組んだ。もうそっちに戻るつもりは無い」
「ケッ、わざわざこっちから声をかけてやったのによ。そうかい、なら精々後悔しないこったな」
そう言うとアレクは俺に背を向け、片手を挙げヒラヒラと手のひらを振りながら元いた場所へ帰っていった。
「……よろしいんですか? 私は、アマギさんが戻りたいと言うなら反対は致しませんけれども……」
悲しそうな顔でそう言う彼女は、テーブルの下で拳を強く握りしめていた。彼女なりの優しさだろうか。
「いや、俺はヨミヤと冒険を続けたい。ヨミヤのお陰で俺は強くなれたんだ。最後まで俺と冒険をしよう」
「……はいっ!」
そう言うと彼女は、ユニークスキル習得時よりも明るい笑顔を振りまいた。そのうち俺よりも明るい光を放つんじゃないだろうか、と少し心配になるアマギなのであった。
日も完全に落ち酒場で食事を終えた俺たちは、余ったお金で装備を新調すべく高級武具販売通りと呼ばれる場所へ来た。
「いやぁ、相変わらず凄いねこの通りは」
「本当ですね、明るくて夜なのに傘が必要になりそうです」
ヨミヤはギラギラとした武具屋の照明に目を細めていた。
「とりあえずお金は沢山あるから、武器を新調しようか」
「私は新しいアクセサリーが欲しいです〜。魔力をもっと上げて、威力を高めるのです!」
そうワクワクする俺たちは夜の高級武具店通りを物色し始めた。
「アマギさんアマギさん!コレ見てください!とっても綺麗じゃないですか!?」
店前でヨミヤが指差すショーケースの中には、深い紫色の水晶の中に白いダイヤモンドが混ざったような、まるで星空模様の指輪があった。その下に30万という数字が並んでいた。
「たっか!? でも確かに綺麗だなぁ……」
「わたし、これが欲しいです!」
そう店前ではしゃぐ二人を見て奥からダンディな店主がやってきた。
「いらっしゃいませ。こちら非常にレア物なアクセサリーとなっております。お連れ様の彼女さんにとても良くお似合いだと思いますよ」
「か、かの……」
店主の言葉に思わず赤面するヨミヤだったが、俺は30万という数字に取りつかれ、その様子に全く気づいていなかった。
「ちなみにこれってステータスとか上がるんですか?」
「はい、こちら魔力増大の指輪となっております。特に陰属性の方にオススメでございますよ」
店主は口元に手を当て、ここでしか買えませんよというような表情でセールスしてくる。
「ならこれしかないです! もうこれにしてしまいましょう!」
駄々っ子のように買って買ってと喚くヨミヤだったが、こんなキャラだったっけ、と俺は過去を振り返っていた。
「まぁこのお金は実質ヨミヤのおかげで手に入れたようなもんだしな、よし! おっちゃんこれください!」
「やったー!」
店内でこれでもかというような接待を受けたあと、店を出たヨミヤはさっそく購入したアクセサリーの入った箱を上げ、それを夜空にかざしながら眺めた。
「本当に綺麗です……」
「よかったな」
ヨミヤが喜んでいる姿を見て俺も嬉しくなってきた。
その傍らで指輪を装着していたヨミヤは、溢れ出る魔力になんだか気味悪い笑顔をしていた。
――ステータス――
ヨミヤ
筋力:10
知力:350
魔力:750 (+400)
スキル:シャドウシーク・シャドウバインド・シャドウボール(new!)
―――――――――
「俺も何か一つくらい欲しいなあ」
満足気なヨミヤの後ろを歩きながら、俺に合う装備を売っていそうな店を探していた。
小一時間ほど物色しただろうか、俺が欲しいと思う装備はこれといって無かった。
「うーん、欲しいものがないなぁ」
「そうですか? 私はお似合いだと思うものがいくつかありましたけど……」
ヨミヤはそう言うが、自分ではしっくりくるものな無かった。半ば諦めかけていたその時、光り輝く高級武具点の間の隙間に道があるのを見つけた。
「あれ?こんな所に道なんてあったっけ?」
「さぁ……見落としていたんでしょうか」
気になった俺たちは武具店の光の間にある道を進んでみた。少し進むと、ボロ屋のような建物が一件立っていた。
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