No.12 人間のいない国 著:ドーレス・山椿・三雲 感想
・ディストピア。今回のテーマにおいて「表現する術を持たないもの」の解釈を広げるためにそもそもシステム面から構築しなおす大胆な手法。
表現の自由というものがないということは解釈の自由もないということ。1=1しか許されないということである……という表現をさらに劇中劇として纏めなおすという構造の作り方がユニーク。しかも劇中劇であるという形が無限ループする形にも見えるので楽しい。
インプットに対して規定通りアウトプットを返すだけは人間ではないんだよ、という意味合いに取れるタイトルがシンプルでいいですね。
・悔しいですが読解力が追い付きませんでした。言わんとしていることはわかるのですが。すべては三雲による表現、創作だったということでしょうか。
・書物や人間を罰する「理由」すらなくなるのは遠い未来ではないかもしれません(そんな感想でいいんでしょうか)
・読み始めて、設定がわかっておおおおー! となって、
さらに読み進めて、もう一度おおおおー! となりました。
とても気分のよい「してやられた感」があって好きです。
・ディストピアめいた未来の社会を描いたSF。
現代社会にもぐさりと刺さる風刺が利いている。
未来の話は良いですね……とてもとても長い時間が経過したら、思想も何もかも全く変化せずにはいられないのだから、こういう世界も本当にあるのかもしれない。とか、そういう想像を広げられて良いです。
・大会参加作品の中で唯一のSF! とってもどきどきワクワクしながら拝読しました。
いろんなことを教えてくれた友達の裕二君を「人の姿をしたなにか」と表現したことに気付いて震えました……。
一話完結だからこその面白さもありますが、本作はもっと続きが読みたい! と感じました!
・「表現を規制されたので、表現ができない」という話。言われてみれば『表現規制』は今回の大会のテーマで扱うにはぴったりだなと思いました。でも思いつきませんでした。この作品を読むまでは。なんで思いつかなかったんだろう……。途中、被告が流れを掴んだシーンは、そこから逆転が始まるのかと思ったら、とくに何か一矢報いることもなく終わってしまい、うーん……。と思わせておいての、最後にどんでん返し。この裁判自体が体制側の『表現』だったというのは、なるほどと言う感じ。エスプリが効いている。
・おお!国家認定表現者の物語だったのですね!『人間のいない国』のタイトルの意味も読了後には少し分かったような気がしました。
・表現する術を持たないのは、表現する術を持たされていないから。
という表現、というのが既にタイトルで示されてるのがいいですね~
表現自体に慣れ親しんでいないので、裁判を聴取してる人らが発言にピンときていないままなのが気持ち悪くていいですね。そして、それはドーレス・山椿・三雲の思い通り、読者である我々にだけ理解できればいいのだ……
・これは面白いが実に難解な話だ。一読で理解はできそうにない。何回か読む必要があるだろう。
ただ、質の悪いジョークと言う意味での皮肉としてはよく出来た創作と思う。
表現する術を規制された環境での表現のそれまた犯罪者としての表現の著書。
ややこしい。もっと違う意図もありそうだが、まだ一発でわからない。
何回か精読したら感想はまたかわるかもしれない。
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