No.11 狂い竜エルガディオ討伐作戦 感想
・物語に恋をした。
扱うテーマが竜でなければだいぶセンシティブによる話でありながら、神話存在を中心とすることで""物語""になるのが皮肉めいていて好き。
舞台装置としての存在になることでなければ自分の中の滾りを抑えられなかった、という描き方もしかり、遺伝子的な本能だったりするのだろうか。逆らえない魅力や快楽を感じるのだろうか、といった心をくすぐる作品。
悪い竜を戮して、お姫様を助けて大団円。システムや枠組みの話は大好物です。
・最後に明かされた理由に、人間の小ささと傲慢さを思い知りました。彼は彼のスケールでやっただけだったのだと。読みやすい文章でした。
・「悲劇」は崇高なテーマとされた時代はこういう動機の殺戮もあったかも(そんな感想でいいんでしょうか)
・どっぷりファンタジーで、ファンタジー成分が補充されたように思います。
表現者が強大な力を持った場合、表現の手段が大規模になりますね。
・竜の苦悩と、竜の表現。
竜という災害的な暴力に巻き込まれる人間の小ささと、竜殺しの英雄譚。それら全てひっくるめてこの大会のテーマになっている。
最後の竜の告白は非常に引き込まれる文章で、上手い役者の長台詞のようにすっと入ってきた。
非常にテーマに良く合っている作品でした。
・めっちゃくちゃに好きな世界観と物語でした!! 世界観の説明に無理がなく、後半のエルガディオの告解の前に物語に没入出来ました。
長い命を持つ人外の傲慢さとそれによる絶望がありありと伝わって、行いの残酷さをより強く印象づけられました。
・物語の完成度の高さにのめり込むように読ませて頂きましたが、故に竜の言葉には込み上げるものがありました。ヴィンセントがきっと私と同じ気持ちでいて下さって良かったです。
・表現する術を持たないのは、表現してこなかったから。
テーマをこう解釈してくるか~! と膝を打ちました。素晴らしい。ドラゴンほどの強大な存在が、自分を物語の中に立たせるとしたら、悪役しかない、と冷静に判断するのがかわいそうでもありましたね。ドラゴンには最強無双ものを読ませるのは絶対にやめようと思いました。ドラゴンだからしょうがないね。 #dragonicexcuse
・異世界ファンタジーミステリーと言った風体の作品で楽しめた。気持ちを具体的に言葉や技術で伝える術がない故の暴虐というのはドメスティックバイオレンスなどでもたまに語られることなので、これも納得できる話だった。
異種の理不尽と身勝手といえばそれまでではあるが、それもそれで彼にとっては「悲劇」であり「非劇」だったのだろう。
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