No.8 宛先不明の物語 感想
・「その返事をしてしまった時点で俺は」の流れが本当に好き。
グレースケールの空気感、主観の人物を中心とした閉塞的な世界を本当に上手く描いていると思う。
まるで水のようにさらりと飲み込めて、それでいて「飲んだ」という確かな手ごたえを感じられる……。
これを読みたかった、と素直に口に出せる作品。
テーマのかみ砕き方とちりばめ方も好きですね……。
・読後に残る喪失感が切ないです。胸が痛くなりました。
・完結しない「作品」を燃やすことで完結したのでしょうか(そんな感想でいいんでしょうか)
・表現する術を持たない状態について、
自覚されないままに気がついていたらそうなっていたのがやるせなくて好きです。
「こうなった場合、こうなるよなぁ」という余韻がありました。
・物語全体を通して創作の苦しさがにじみ出ているように感じた。
きれいにオチをつけるならば、未完成の作品を最後には完成させて持っていくという流れになりそうだが、あえてそうしない所に生々しいリアルさが生まれている。
・非常に心に刺さりました!燃える原稿用紙の描写が鮮明で、主人公に救いがあってほしいと思うばかりです。めちゃくちゃ好きなお話でした!
・お、お辛い……。読んだ後気分が落ち込んでしばらく立ち直れなかったですね……。投稿された13作品の中で一番心を抉られたかもしれません。青春+死! という要素で見れば、No.5『狐の嫁入り』とかと近しい気もするんですが、あちらは一応前向きに進もうみたいなテーマがあったのに比べて、こちらの死は純粋な悲劇だし、主人公も特に一歩を踏み出しはしないので、ただただ辛い。私も小説を書いていて、「自分の作品が読まれること」とか「それに関してリアクションが返ってくること」のうれしさは重々実感しているので、途中まで読まれて「君が書いてる話、面白いと思うんだけどなあ」なんて褒められたうえで「じゃあ、私が待っててあげる。君のファン第一号って感じで」なんて言われてたらめちゃくちゃうれしくなるというか天にも昇る気持ちになるに決まってるだろ! と思わずにはいられませんでした。そんな『救い』の言葉が死によって『呪い』になるのが残酷すぎるんだよなぁ……。
・表現する術を持たないのは、相手が死んでしまったから。
作品完結させないことを美化しすぎていて、いや……書けや……と思ってしまったかな。青春モノは諦観やるにはちょっと早すぎでしょうが!
・「火葬」によって物語にオチをつける(=ケリをつける、決別する)行為が象徴的で、表現したかった相手へ送る最大限の表現だと思いました。
「書きたいものがあって、手を動かすんだから。書きたいものが形にしきれないのであればそれは意味が無い」の一文が特に印象に残りました。
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